生駒 忍

記事一覧

富山新聞販売店が高齢者らの見まもりに協力

きょう、北國新聞のウェブサイトに、地域で高齢者見守る 高岡市が富山新聞販売店と協定締結という記事が出ました。新聞が高齢者のためのものになりつつある中で、万が一にそなえる販売側からのかかわりができるというニュースです。

記事タイトル以外では、「高齢者ら」「お年寄りら」という表現で通していますので、高齢者だけのためのものではありません。うがった見方をするなら、どんな過疎地でも同じ値段で配達する再販制度を守ったり、社会福祉的な存在意義を持たせて軽減税率の特権をねらったりというねらいにつながるところもあるかもしれませんが、毎日地域を回る民間資源の活用として、有用であることはたしかです。

記事には、まったく不要な半角スペースが、一定間隔で入っているように見えます。「ネットワークの 構築」「見守り、 孤立を防ぐ」「市内八つの販売 店」といったぐあいです。ですが、いくつあるかを数えようと思って、Ctrl+Fから検索すると、まったく引っかかりません。半角スペースに見える特殊な文字コードの何かではと考え、本文をエディタにコピペしてみると、ふつうの半角スペースになっています。答えは、ソースにあります。

「昨年9月に滑川市で家族3人の孤独死を受け、市が一人暮らしの高齢者らの見守り体制 を強化する。」とあるのは、悪い文です。ここはたとえば、「滑川市で起きた家族3人の孤独死」というように、「起きた」を入れて関係をつなぐとよいでしょう。そういえば、サギ師バスターズ(宗田理作、PHP研究所)の第6話では、邦子が「二人とも、いつ別れてもいいくらい最悪です。原因は、沖田にあります」と言っています。

社会福祉協議会は地域福祉の推進を図ります

きょう、西日本新聞のウェブサイトに、社会福祉協議会という記事が出ました。ニュース中の用語を説明するワードBOXというコーナーの新着記事で、ここでは社会福祉協議会について説明した後に、共同通信による社会福祉協の生活支援4万人に 認知症・知的障害が対象という配信をベースにした記事が続いています。

社会福祉協議会の説明は、これでおおむね合っているといってよさそうです。ですが、1文目はあと少しだけ手を加えることで、より適切な説明にしたいところです。

「福祉活動の推進を目的に」とあるのは、条文の上でも、今日の福祉政策の方向性を見ても、「地域福祉の推進を目的に」と改めるのが、より適切でしょう。社会福祉法109条1項、同2項、110条1項は、それぞれ市町村社会福祉協議会、地区社会福祉協議会、都道府県社会福祉協議会を、「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」としています。標準社会福祉用語事典[第2版](秀和システム)でも、社会福祉協議会の項には「地域福祉の推進を図ることを目的とした、地域の住民や関係機関による民間の公益的自立的組織。」とあります。福祉教科書 社会福祉士・精神保健福祉士完全合格テキスト 共通科目 2014年版(翔泳社)には、「社会福祉協議会は,社会福祉法で地域福祉の推進を図ることを目的とする団体として規定されました(109条1項,2項)。」とあって、都道府県社協を忘れているようです。

また、「社会福祉法に基づいて設置された」とあるのは、「社会福祉法に基づいて設置されている」とするほうが、誤解を生じにくいと思います。中央慈善協会からの名称の変遷については、以前に中央法規社会福祉士ワークブックに関するシリーズ第3弾にも少し書きましたが、これが他団体との統合を経て今日の社協のかたちになるのは、社会福祉事業法によってです。社会福祉基礎構造改革でこの法律が社会福祉法と改称されたのは、半世紀後の2000年ですが、そこから社会福祉協議会が設置されたわけではありません。

町の買い物弱者を支援する電子商取引実験

きょう、タウンニュース足柄版という折込情報紙に、ネットで買い物弱者を支援 商工振興会らが実証実験という記事が出ました。開成町商工振興会が先週から始めた、9店舗が参加する電子商取引のこころみを紹介しています。

すでに人口の4分の1以上が高齢者というわが国では、買い物弱者も増えつづけることが見こまれますので、こういったことを通してよりよい支援が探求されるのは、よいことだと思います。ですが、この実証実験では、買い物弱者の買い物を容易にするところを目的にするのではなく、その先まで目を向けているところに、注目したいと思います。「介護サービスの充実と地元商店の活性化を目的に」したものだと説明された上で、実験に協力しているNPO法人の理事長は「買い物介助に割く時間を他のサービスに充てられるので利用者サービスが向上できる。」、実験実施者の側は「配達サービスは今後の小売業の活路の一つ。」と言っています。それぞれが、一般的な関心からというより、自分の求めるものにつなげる視点で進めていることが、よくわかります。そういえば、SWIMMING MAGAINE 2013年3月号(ベースボール・マガジン社)には、瀧口真帆のインタビュー記事があり、あの時点で18歳と書かれていましたが、その中で、飛行機の中でジョーズ(S. スピルバーグ監督)を見ておもしろかったことから、サメのことを調べたとありました。特撮ではなく、やはり泳ぐほうに関心が向いたのでした。

「障がい者のための防災訓練」の参加者分類

きょう、毎日新聞茨城版に、障がい者のための防災訓練:120人が参加−−取手という記事が出ました。安味伸一という記者による、小規模ながら意義のある防災イベントの報道です。

気になったのは、「身体、知的・精神と目や耳が不自由な障害者約20人を含む120人が参加」というところです。障害者基本法2条のような、身体、知的、精神とをいわゆる「3障害」として並列するとらえ方ではないようです。身体と「知的・精神」という二分法のほうが、一般の人の直観に合うからでしょうか。また、その「身体」は、記事中でも取りあげられている車いすで生活する人のイメージで、「目や耳が不自由」は別とみているのでしょうか。それとも、「知的・精神と目や耳が不自由な障害者」というのは、重複障害であることを表現しているのでしょうか。

「支援団体や家族会などで構成する「とりで障害者協働支援ネットワーク」(17団体)」という書き方も、気になりました。このネットワークが17もあるわけではありませんので、たとえば、「支援団体や家族会など17団体で構成する「とりで障害者協働支援ネットワーク」」というように書いてもよかったように思います。なお、このネットワークの会報である笑顔のひろばのタイトル部分を見ると、「とりで障害者恊働支援ネットワーク」とありますが、記事のほうが正しいと思います。ですが、南澤孝男という人によると、「協」と「恊」とを異体字の関係としている漢和辞典もあるのだそうです。

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