生駒 忍

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中央社会事業協会への改称は1924年です

シリーズ第3弾です。

ワークブック144ページに、今日の全国社会福祉協議会の源流となった、中央慈善協会に関する記述があります。先に「1908(明治41)年には渋沢栄一が中央慈善協会の初代会長となり」という話題を出してから、少し後で「1908(明治41)年10月に慈善事業の活動を組織的、計画的に行う必要性から、調査・連絡機関として中央慈善協会が設立された。」と説明されるのは、読みにくい構成ですが、内容はまちがいではありません。ですが、これに続いて、「その後、社会事業という名称の一般化に伴って、1922(大正11)年に中央社会事業協会と改称された。」とあります。これは、正しくありません。

この団体の歴史についての情報がととのっている、全国社会福祉協議会の100周年のページというコーナーを見てみましょう。大正期のページによれば、中央慈善協会は、まず1921年3月に、社会事業協会に改称しています。そして、1924年3月に財団法人となり、中央社会事業協会へと、ふたたび改称しています。ワークブックにある1922年という年ですが、この団体については、少なくとも年表に載せるようなできごとは、改称も含めて特に何もなかったようです。

社会福祉辞典(誠信書房)では、中央社会事業協会への改称が、1921年であったように書かれています。これはおそらく、社会事業協会への改称と混同したのだと思います。なお、この団体が1922年に何かしたというようなことは、この辞典でも見あたりませんでした。