生駒 忍

記事一覧

社会福祉協議会は地域福祉の推進を図ります

きょう、西日本新聞のウェブサイトに、社会福祉協議会という記事が出ました。ニュース中の用語を説明するワードBOXというコーナーの新着記事で、ここでは社会福祉協議会について説明した後に、共同通信による社会福祉協の生活支援4万人に 認知症・知的障害が対象という配信をベースにした記事が続いています。

社会福祉協議会の説明は、これでおおむね合っているといってよさそうです。ですが、1文目はあと少しだけ手を加えることで、より適切な説明にしたいところです。

「福祉活動の推進を目的に」とあるのは、条文の上でも、今日の福祉政策の方向性を見ても、「地域福祉の推進を目的に」と改めるのが、より適切でしょう。社会福祉法109条1項、同2項、110条1項は、それぞれ市町村社会福祉協議会、地区社会福祉協議会、都道府県社会福祉協議会を、「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」としています。標準社会福祉用語事典[第2版](秀和システム)でも、社会福祉協議会の項には「地域福祉の推進を図ることを目的とした、地域の住民や関係機関による民間の公益的自立的組織。」とあります。福祉教科書 社会福祉士・精神保健福祉士完全合格テキスト 共通科目 2014年版(翔泳社)には、「社会福祉協議会は,社会福祉法で地域福祉の推進を図ることを目的とする団体として規定されました(109条1項,2項)。」とあって、都道府県社協を忘れているようです。

また、「社会福祉法に基づいて設置された」とあるのは、「社会福祉法に基づいて設置されている」とするほうが、誤解を生じにくいと思います。中央慈善協会からの名称の変遷については、以前に中央法規社会福祉士ワークブックに関するシリーズ第3弾にも少し書きましたが、これが他団体との統合を経て今日の社協のかたちになるのは、社会福祉事業法によってです。社会福祉基礎構造改革でこの法律が社会福祉法と改称されたのは、半世紀後の2000年ですが、そこから社会福祉協議会が設置されたわけではありません。