生駒 忍

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山口組抗争の可能性と『なぜか笑介』最終巻

きょう、アメーバニュースに、「3月15日には歌舞伎町に行くな」 ネットで拡散中という記事が出ました。

「今回の「歌舞伎町に……」という情報は、一定の根拠が示されている」そうです。「神戸山口組は2月15日にも会合を行ってまたもトラブルとなり、警察が出動する騒ぎになったため、3月15日にも会合を行うのではないかと危惧されている」、これのことでしょうか。トラブル、さわぎになった会合は事実ですが、その「ため」に、あすにも会合を行うのではという推論になるのは、よくわかりません。

Twitterからひろったものが、6本登場します。実際のツイート順ではありませんので、気をつけてください。OL王というアカウントのツイート、あさって3月15日は歌舞伎町で山口組の抗争の可能性があるというのやはり本当らしいのでが、ほんの少しだけリツイートされています。「がも」が願望をほのめかす意図なのかは、わかりません。

「情報がデマであればそれに越したことはないが、情報には一定の説得力があるだけに、「用がないなら近づかない」のが賢明かもしれない。」と締めます。先ほどの「ため」のりくつがついていけませんし、「一定の説得力がある」と説得されても、少なくとも私は、困惑してしまいます。「可能性がある」という情報は、どちらに転んでも反証はされませんので、一般的な意味での「デマ」と確定することもありません。しかも、不安な方向の情報は、断言してはずした場合でさえ、予言がはずれるとき この世の破滅を予知した現代のある集団を解明する(L. フェスティンガー・H.W. リーケン・S. シャクター著、勁草書房)にあるような展開をみちびくのです。また、君子危うきにといえばもっともですが、「用がないなら近づかない」にこだわって、被災地の産品や、がれき処理への助力をさけたがった人の威力は、ご存じのとおりです。なぜか笑介 29(聖日出夫作、小学館)の1話「不安」は、不安が学びを動機づけ、自信へとつながるとしましたが、震災から5年、不安にとらわれた人のすがたから、学ぶものはありましたでしょうか。きょう、その作者である聖の訃報が入りました。ご冥福をいのります。

カンニングの美談の全否定と「運命」の編曲

きょう、トピックニュースに、「TVタックル」のデマニュース特集で、カンニング竹山と相方にまつわる美談を完全否定という記事が出ました。

「19日放送の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)で、カンニング竹山と相方の美談エピソードはウソだったことが判明した。」と書き出されます。テレビ初公開なのかもしれませんが、なにを今さらと思ってしまいました。1年8か月前に、竹山自身によるツイート、②一度気持ち悪いのでここでおじさんの立場からハッキリ言わせていただきます。で明かされています。リツイート数もこれだけありますし、その日のうちにJ-CASTの記事、カンニング竹山「全くのデマ」 相方にギャラ送る「美談」否定に、日付が変わってからナリナリドットコムの記事、カンニング竹山“美談”はデマ、ネットで拡散「迷惑、やめて下さい」。になりました。J-CASTのほうは、後々にも参照されることを意識したのか、「5月19日(2013年)に「全くのデマ」だとツイッター上で否定」と、年月日がわかるように書かれています。それでも、この手の美談には、信じる気持ち、信じたい気持ちが根強いですので、根気強く否定し続けることには、意味があります。

「番組は「(竹山)本人は完全に否定!デマだった!」と真相を暴露」とします。一般には、本人が口を開くのが、真偽の強い証拠になりますし、少なくともこの「美談」の件は、これでよいと思います。では、nikkansports.comにきょう出た記事、カンニング竹山、高額自腹ヤラセ疑惑否定はどうでしょうか。同じ竹山で、すでにほかのタレントもしてきた主張ですが、これを根拠に、本人が否定するのだからやらせではないのだという結論でよいでしょうか。あるいは、MANTANWEBにきょう出た記事、松坂桃李 : 綾瀬はるかとは「友達」 双方が交際否定はどうでしょうか。「女優の綾瀬はるかさんが「(松坂さんとは)友達」と否定したことについて、記者から再度確認された松坂さんは「友達です」と同様のコメント」、「双方が交際を否定した形」、以上で事実確定でよいでしょうか。もちろん、「友達」のとり方もいろいろでしょうし、松坂の父は大学の教授、東北福祉大で心理学を専攻というおかしな情報にくらべれば、確度が高いはずです。

このMANTANWEBの記事で、そこよりも私が気になったのは、「劇中で謎の指揮者を演じている西田さんは、弦楽四重奏を率いてベートーベンの「運命」の印象的な出だしの指揮を披露。」したことです。1楽章の弦楽四重奏版はいくつか出まわっていますが、今回はどこのものでしょうか、それとも映画オリジナルでしょうか。意外に編曲しにくいつくりのようにも思いますが、だからこそ、アレンジにチャレンジしたくなる面もありそうです。グレン・グールド・エディション<5>のようなピアノ独奏、オルガン、吹奏楽はもちろん、弦楽四重奏ではない「弦楽」四重奏として、ギター四重奏または合奏のための 交響曲第5番「運命」第1楽章(ホマドリーム)もあります。さらに、アカペラで、原曲の思想からはるかにはなれた歌詞をのせた交響曲第5番「朝ごはん」(上海太郎舞踏公司B)は、肩のこらないコミカルな小品なのに、気合いの入ったこり方で楽しめます。EMDR特集番組の記事で触れた、相場ひろのことばを思い出しました。

裸の画像が「暴露」されたといううわさ話

きょう、西日本新聞の朝刊に、LINEトラブル深刻 いじめや暴力の契機にという記事が出ました。きのう書いた記事に続いて、「トラブル」続きになってしまいますが、こちらは死者も出ているという問題です。

死者というのは、3月に奈良県であった中学生の自殺事件がLINEがらみだと書かれているものです。ですが、もっと大きなニュースとなった「広島LINE殺人事件」のほうが、時間的にも、地理的にもここの読者に近いのですが、いろいろ取りあげにくかったのでしょうか。そういえば、近畿地方の事件なら、東大阪市ラブホ女子高生死亡事件が、もう2年以上も前の事件ですが、LINEつながりでの生徒死亡のはしりかもしれません。女性自身に掲載の、ネット犯罪 監視の目を避けるために横行する“隠語”にある、「部屋に入ったとたん覚せい剤を打たれて命を落とした女子高生」が、その被害者であると思われます。

記事の最後に出てくるうわさの話も、気になるところがありました。事実性に自信がなくて、それでもどうしても載せたい「事件」なので、あのような、逃げ道を固めた書き方になったのでしょうか。「別れた後に暴露された」とあるのは、その前にある「影響も広範囲だ」と組みあわせてイメージさせるところと考えられますが、暴露という表現は、情報内容に関して使うものですから、画像の電子情報を配信されたことを「暴露」というなら、新しい用法のようにも思います。また、証拠も証人も得ていないのに、いかにもありそうだというところを、しかも記者からではなく取材対象に言わせる出し方は、小ずるい印象も受けます。もちろん、いかにもありそうなありがちな都市伝説は、社会心理の議論としては興味深いところで、スクールカーストの闇 なぜ若者は便所飯をするのか(和田秀樹著、祥伝社)でも、「便所飯」は直接は一度も見ていなくても、若者にとってとても真実性が高く感じられるというお話がありました。みんなで手をつないで横並びでゴールする運動会も、誰も見ていないがいかにもありそうなので信じられているという位置づけにしつつ、和田は手つなぎゴールを実際に目撃した人を知っていると書いています。女子生徒の「裸の画像」が不慮の事故ではないかたちで流出した例はすでに実在し、自称「立命館大学の学生」によるストーカー殺人事件で、xvideosで広く開かれたものがありましたし、子どもへの性暴力 その理解と支援(藤森和美・野坂祐子編、誠信書房)の事例11-4もあります。 男子生徒では、「学校裏サイト」に掲載された滝川高校いじめ事件で、自殺例があります。

当たり屋情報がまた流行しているのでしょうか

今月に入ってすぐのことですが、多摩湖畔日誌という個人ブログに、尤もらしい当り屋の「ガセ情報」という記事が出ました。当たり屋情報は、もう古典といってもよい、息の長い流言です。心理学者なら、サトウタツヤ 「**を信じるな!」でご存じの方も多いのではと思います。

この当たり屋情報は、はやりに波があり、ことしは、ゴールデンウィークのころに山がありました。このブログの記事によると、「全国に出回っているそうだ」ということですので、3か月ぶりに流行しつつあるのでしょうか。先日、東京都内で、当たり屋情報のチラシを見かけたとも書かれています。そして、チラシの画像が出ているのも、信憑性を感じさせます。

ですが、このチラシ画像は、知っている方が見ればすぐわかることですが、この方が今回、フロントガラスごしに撮影したものではないことは、ほぼ確実です。また、少なくとも私には、最近出てきた当たり屋情報が、これ以外には思いあたりません。きのう、コモンポストというソーシャルニュースサイトに、自転車に乗って止まっている自動車に自ら激突!!あまりにもヒドい当たり屋の犯行をとらえた決定的瞬間!!という記事が投稿されましたが、これは無関係です。そちらは自転車ですし、グループで動いてはいないようです。そして、となりの国でのできごとで、あまりにすなおな計略で、よくわからない世界です。そういえば、これも無責任な流言的なものをふくむ本ですが、こんなにちがう ヨーロッパ各国気質 32か国・国民性診断(片野優・須貝典子著、草思社)の、セルビア人のところで、「自分の家計はわかるけど、お隣さんのことはよくわかりません」という表現があったと思います。

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