シリーズ第15弾です。
ワークブック35ページに、パーキンソン病について、「原因は脳の黒質、線条体のドーパミン合成の低下である。」とあります。これは、正しくありません。
黒質では、ドーパミンが合成されます。線条体には、そのドーパミンが送られ、使われるのですが、線条体がドーパミンを合成することはありません。念のため、線条体でドーパミン合成が行われる特異な例があるかもしれないと考えて探してみましたが、そのような報告は見あたりませんでした。
臨床に役立つ解剖学・生理学概要(岡田昌義著、医学図書出版)にも、同じようなところがあります。「黒質の神経細胞の変性によりドパミンの産性が減少するため」と書いていますが、少し後に、「黒質や線条体からのドパミンの産性が減少することにより」ともあります。どちらでも、産生ではなく「産性」と表現しているのも、気になります。一方、社会福祉士合格ワークブック2013 共通科目編(ミネルヴァ書房)には、パーキンソン病は原因不明としながらも、「黒質・線条体でのドーパミン」が減ることで発症するとあります。