生駒 忍

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1章4節は「サイコドラマの11の効用」です

サイコドラマの理論と実践 教育と訓練のために(磯田雄二郎著、誠信書房)を手に入れた方は、どのくらいいますでしょうか。先日届いた誠信プレビュー119号では、20日、つまりあすの刊行予定になっていましたが、もうできあがっています。予約注文しておいて、ちょうど届いたところという方もいるかもしれません。

細かいことですが、その誠信プレビューでは、1章4節のタイトルが「サイコドラマのの効用」となっていて、まさかこれで印刷に回ってしまったのではと、心配していました。誠信書房ウェブサイトでのこの本の紹介でも、やはり同じです。誠信プレビューとウェブサイトとでは、同じデータをレイアウトだけ変えて使いまわしているだけだと思う方もいるでしょう。ですが、たとえば、誠信プレビューでは「A5判156頁」ですが、サイトでは「A5・158ページ」です。「日本の心理劇の第一人者」といわれたら、私なら出身のこともあって、ほかのもっと年上の大先生を思いうかべるところを、サイトではこの著者に使っていて、ですがこの表現は、誠信プレビューには見あたりません。そういったことから、まさかとは思っていましたが、きょう、現物で確認できて、安心すると同時に、予想と異なっていて、意外な感じを受けました。ここは、「サイコドラマの11の効用」になっていたのです。衍字ではなく、脱字だったのです。

マック・唯一神・宗男という組みあわせ

きょう、週刊新潮7月18日号(新潮社)が発売されました。今号は、ワイド特集「飛んで火に入る夏の運試し」を中心にした構成です。「ツールスレンはなかった」というカンボジアの歴史修正主義の背景を明かした「変見自在」など、いつもの連載も好調です。

今度の参議院選挙の泡沫候補を取りあげたコーナーが、モノクロのグラビアページにあります。3名が登場するうち、異色なのは鈴木宗男候補で、初出馬である上に、ある程度知名度のある政党から出ているのに、泡沫候補として扱われています。しかも、あと二人は、マック赤坂(戸並誠)と又吉イエス(又吉光雄)、おなじみの選挙名物です。「社会心理学博士」と「唯一神」、そこに「鈴木宗男」という、意外にすみ分けができそうな組みあわせになっているのも、この記事のおもしろいところでしょう。そういえば、心を動かすデザインの秘密 認知心理学から見る新しいデザイン学(荷方邦夫著、実務教育出版)にも、「唯一神」の姿が登場していて、私の知る限り、心理学書ではこれが唯一です。ただし、モザイクがかかっています。

『月刊ケアマネジメント』の校正の甘さ

きのうの記事で、月刊ケアマネジメントについて、いつも校正が甘いというようなことを書きました。この雑誌は、各号の特集の冒頭2ページをPDFで公開していますので、そこを取りあげて、実例をならべてみることにします。

最新号、2013年6月号から見ていきます。特集は「使ってみよう 定期巡回・随時対応サービス」、PDFはこちらです。架空と思われる対談の当事者、オシャベ・リンダを紹介する丸がこみの中に、「ケアマネジャー暦」と誤字があります。また、対談相手の名前は「マジメダ・ゾウスケ」という設定なのですが、それを「マジメダ・ゾウ」に、少しだけ縮めてしまっています。Daniel SchacterをDan Schacterと呼ぶような、親しさの出る表現のつもりなのでしょうか。

2013年5月号、特集は「最新! イチから学ぶ障害福祉制度」で、PDFはこちらです。障害者総合支援法について、「施行は今年・来年の二段階。」「施行は今年4月と来年4月の2段階で実施されます。」という数字表記のゆれがあります。そして、「施行のスケジュール」という表に、きのうの記事で触れた、2万年以上先という気の遠くなるミスがあります。

2013年4月号、特集は「若葉マークのケアマネさんへ 押さえておきたい法令集」で、PDFはこちらです。かこみの中に「ここを読め!」というかこみがあり、「厚生省令第37号第24条の2」というものが提示されていますが、このとおりに覚えてはいけません。まず、省令の法令番号は、年が替わるとまた1から始まるものですので、「厚生省令第37号」という呼び方では、一意に定まりません。11年厚生省令37号、つまり指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準のほかに、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律施行規則厚生年金保険法施行規則、そして死体解剖保存法施行規則、すべて37号の厚生省令です。さらに、11年のものだとしても、そこに「第24条の2」は存在しません。引用内容からすると、24条2項を指したかったのだと思われます。

2013年3月号、特集は「できるが広がる! リハビリの視点に学ぶ」で、PDFはこちらです。匿名の作業療法士の発言の中に、「そういう成功体験がケアマネ自身にもないのではないのではないでしょうか」とあり、本人が話したとおりに起こしたのかもしれませんが、手を入れたほうがよかったように思います。

2013年2月号、特集は「もしかして栄養失調?」で、PDFはこちらです。nが落ちて、"PEM (Protein-Energy Malutrition)"となっています。また、介護予防のための基本チェックリストに血清アルブミン値の基準が入っているように書かれていますが、本文中に「血液検査で分かる」とあるように、チェックリストには入るはずのない項目です。地域支援事業の実施についての別添2を見れば、ないことが確認できますし、別添3を見れば、この誤りの原因が見えます。BMIの定義式が、その表でも本文でも「体重(kg)÷身長(m)の二乗」と書かれていて、2乗するタイミングを誤解しやすい書き方なのも気になりますし、「家でカップ麺やお菓子ばかりを食べていた、と、在宅の低栄養状態って意外と見過ごされているようです。」というわかりにくい表現も、見すごされているようです。

2013年1月号、特集は「今年こそ“発表”デビュー!」で、PDFはこちらです。大川絵理・宮田雅子の研究発表に関して、「オムツやパットに出す回数を減らし」とありますが、よくある誤記で、「パッド」のことでしょう。日本語版ウィキペディアでパットを見ると、ゴルフのパットの単独記事ではないのですが、そこには「パッドの誤り」ともあります。また、都丸昭唯・宇津木忠の研究発表に関して、「抄録集の作成は宇津木さんが担当」とありますが、大会運営側ではなく単なる発表者でしょうから、抄録集を作るはずはなく、抄録集にのせる自分たちの原稿しか作っていないと思います。PDFの最後には、都丸の「発表の経験を与えてくださった職場や、仲間に感謝しています。」という発言がありますが、発表の機会を与える、発表の経験を積むといった表現はありますが、発表の経験を与えるという表現はなじみがありません。これも、本人が話したとおりに起こしたのかもしれませんが、手を入れたほうがよかったように思います。

『WILLPOWER 意志力の科学』の評判

WILLPOWER 意志力の科学(R.F. バウマイスター・J. ティアニー著、インターシフト)が公刊されてから、1か月がたちました。読んだ方はいますでしょうか。

Yahoo!ニュースBUSINESSに『スタンフォード~』の次はこれ?「意志力」の第一人者によるベストセラーという記事が立つなど、あのスタンフォードの自分を変える教室(K. マクゴニガル著、大和書房)の類書として紹介されることも多いようです。ですが、特に売れているという話は耳にしませんし、amazon.co.jpのカスタマーレビューは、1件しかついていません。そのレビューでは、「背景となる研究がきちんと紹介されている分、『スタンフォードの自分を変える教室』と比べてややとっつきにくい印象」と書かれている一方で、Yahoo!ニュースBUSINESSの記事では、「当然同じ教訓、ノウハウが書かれた個所もありますが、全体的に見て、こちらの方が詳しく、実験が行われた背景や条件などもわかりやすく書かれてい」ることが評価されています。

第一著者が、amazon.co.jpの内容紹介では「心理学者として世界で最も研究成果の引用が多く、影響力があるひとりとして知られる」、Yahoo!ニュースBUSINESSの記事では「心理学者として世界で最も研究成果の引用が多く、影響力のある学者」とされています。私のイメージでは、心理学関係での被引用では、アトキンソン-シフリンの多重貯蔵モデル、あるいはフロイトの夢判断あたりが敵なしだと思っていましたが、これらを超えたのでしょうか。そういえば、この本のはじめのほうに、マシュマロ実験の話題の中で、「フロイト派の精神分析法にとって大きな打撃となった」という表現が出てきます。

世田谷区待機児童問題と保坂区長の明言

週刊新潮 2013年5月23日号(新潮社)を購入しました。同じ日に出た週刊文春 2013年5月23日号(文藝春秋)も、モンスターペアレントについて、プライバシーを理由に家庭訪問を拒否、外から撮影されないように自分の子は窓ぎわの席にさせない、外見の指摘に「宗教上の理由」を持ちだすなどの事例が集められた記事が興味深かったのですが、こちらは見送りました。

今号で私が最も関心があったのは、先日亡くなった精神医学者小田晋の追悼記事でした。「特集」と書かれている割には短い記事でしたが、あの正義感、反骨精神をふり返るとともに、心なごむ意外なエピソードにも触れることができました。あらためて、ご冥福をいのりたいと思います。

まだ読みきってはいないのですが、ワイド特集の中にあった、世田谷区の待機児童問題も注意をひきました。あの区長と労組とがあって、全国ワーストとされる事態の改善策がさまたげられているということのようです。そういえば、つい先日出た経堂Walker(角川マガジンズ)でも、保坂区長は「保育のキャパシティが足りないという深刻な問題があるのは事実」と明言していて、わかってはいることが確認できます。