きょう、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版に、ロックスターの「早死に」は事実、「27クラブ」は神話だが・・という記事が出ました。
最近ではカシュトゥンガ(水沢秋生作、祥伝社)にも登場しましたが、セイタカアワダチソウは、毒で勢力をひろげるものの、増えると自分自身の毒のために限界になることは、よく知られています。同じように、圧倒的なスターになるほど、スターとしての自分自身の影に圧倒されて、陰で苦しむとも言われます。大スターを雑草とならべるなというおしかりの声もありそうですが、すぐに、宮中侍従物語(入江相政編、角川書店)に登場する、昭和天皇の有名なたしなめも聞こえてきそうです。
「27歳というのはロックスターが早過ぎる死を遂げるリスクが最も高い年齢というのは音楽雑誌の通説だ。」、これに対して、「オーストラリアで新たな調査を行った研究者は、この説は合点がいかないと主張」、そして「平均死亡年齢は27歳よりもずっと上」、「ケニー教授は「27クラブという仮説は神話に過ぎない」と話す。」ときます。ですが、「27クラブ」に特異的にビッグネームがならぶことは事実でも、死のリスクが最高になるのは27歳だというのが、「音楽雑誌の通説」として存在するのでしょうか。やや、わら人形論法のような印象を受けます。また、それへの反証としても、平均値を出すより、最頻値を示したり、各年齢での死亡率の、一般人とロックスターとの対比を見たりするほうが、適切であったと思います。
それでも、早く亡くなる傾向自体は、まったくそのとおりです。「教授の研究は、ロックスターたちの早死について掘り下げて調査した最初のものではない」とあるように、すでに知見がありますし、よりくわしい分析も行われています。たとえば、ヤバい予測学 「何を買うか」から「いつ死ぬか」まであなたの行動はすべて読まれている(E. シーゲル著、CCCメディアハウス)にあるように、ソロ歌手とバンドメンバーとでは大ちがいで、前者は後者の倍も、早死にすることがわかっています。「音楽業界自体が極端な行動を支持しているところがある。」とありますが、協調しにくい、よくも悪くも強い個性とも関連するでしょう。また、おそらくはそれ以上に、グループにいることで得られるソーシャルサポートの有無が、大きいはずです。「自殺は3倍」を減らす効果は、確実にあると思われます。もちろん、そのサポートの質は、グループの質にもよるでしょう。そういえば、BUBKA 2014年10月号(白夜書房)で、AKB48の木﨑ゆりあが、SKE48ではだれかがいないと気にするが、AKBではそうではないと指摘していました。
最後に、「教授は、一般人が才能を競うテレビ番組は特に懸念すべきだと指摘する。」とあります。「子供でさえ、ほぼ一夜にしてスターの座に登りつめることも」、「「こうした環境では、子供は自分が子供だという感覚を失うものだ」という。」とします。唐突に話題が変わったように感じますが、指摘内容には同感です。それで思い出したのが、ロックスターではなく、自殺も未遂でしたが、歌手の中森明菜と、加護亜依です。中森は、「スター誕生!」からまたたく間にトップスターへと上りつめましたが、近藤真彦の自宅での自殺未遂騒動から、まっ逆さまにではありませんが落ちていきました。移籍をくり返し、心身の不調を心配されながら、いまはもう、無期限活動休止となりました。加護は、「ASAYAN」の出身で、最盛期のモーニング娘。のメンバーでしたが、肉の味の菓子の記事でも触れたように、歌手活動はもう、きびしいでしょう。