きょう、ORICON STYLEに、金爆、特典なしシングル発売はクレームがきっかけという記事が出ました。音楽以外の要素をできるだけ排除して売りだされた、ローラの傷だらけ(ゴールデンボンバー)を取りあげたものです。
所属事務所の会長によれば、テレビ番組でのサプライズ企画にクレームが生じて、「握手券がトラブルの原因になったり、メンバーの行動まで制約するのなら封入するのをやめよう、ということに」、これがきっかけだったそうです。握手会に体調不良や暴言トラブルは日常茶飯事、AKB15歳メンバーがファンの求婚を断わったら提訴される事態に...という法的トラブルまで発生、工具でおそわれて仕事を落とし、「行動の制約」どころではなくなったメンバーも出した人気グループと、対照的ではあります。
そういった売り方のグループや、あのやり方を批判できない人々や社会をねらったのではなく、「問題提起するようなつもりは全くなくて、自分たちだけの問題」なのだそうです。うそをつくなと腹をたてる人もいるかもしれませんが、意外にすじが通ると、私は思いました。ミュージシャンなら音楽で勝負したいと思うのはあまりに当然なのに、「音楽だけにスポットを当てたい、という鬼龍院の意向が大きいです。」「ゴールデンボンバーの核である音楽にスポットが当たった」、これがよりによって、見かけはバンドでもメンバーが演奏しない、しかも演奏しないことをかくすどころかトレードマークにする「バンド」だからこそ、「自分たちだけの問題」としての特徴をもったと考えることができるのです。それでも、「90年代の音楽シーンを見てきたアーティストにとって、オリコンランキングで1位を獲ることは、憧れでもあります。」として、「90年代の」とつけたところには、対外批判のニュアンスを感じます。ですが、ヴィジュアル系バンドで実年齢の話題は好まれないとはいっても、あの世代ですとあこがれるのはしかたがないといえば、それまでかもしれません。そういえば、年齢で思い出しましたが、はてな匿名ダイアリーにきょう出た記事、はてなエンジニアランチの運営がクソだったには、「運営スタッフの女性」が割りこんで年齢を当ててきて、答えたら「クソガキ」呼ばわりされたという報告がありました。
さて、「当初、3~4万枚程度の売上を見込んでいたが、蓋を開けてみれば予想を上回る結果に。とはいえ前作より大幅な売上ダウンとなった。」わけです。オリコン自身の統計データのグラフは、一番の代表曲の売り上げが意外に少ないところも注意を引きますが、今回の結果は、「これが日本の音楽業界の現状」といえるでしょうか。けさの中日スポーツの「ドラ番記者」には、「勝ちにも、自分に腹立つ勝ちとうれしい勝ちがあるからね。」という、山本昌の発言がありましたが、今回の売り上げは、もし負けだとしても、「うれしい負け」と表現できるかもしれません。そして、結局はこうして、音楽そのものではないところが話題になるという、皮肉な展開となりました。この記事でも、オリコンだからという理由もあるとは思いますが、売り方とそれへの反応に注意が向けられ、この音楽の音楽としてのところは、まったく書かれませんでした。そういえば、うたのしくみ(細馬宏通著、ぴあ)には、「けれど、歌をただそのままに受け入れようとすると、歌について書けることはほとんどなくなり、むしろ、それをきいているわたしたちの感情を語ることになる。」とありました。
画像はグラフのほかに、もうひとつ、ジャケット写真なのですが、何もないように見えるものがあります。クリックすると、ちゃんと拡大もされます。ふと、20年ほど前に、NHK-FMで「4分33秒」の放送を「聴いた」ことを思い出しました。