生駒 忍

記事一覧

知的障害者に食べさせたくて盗んだそうです

きょう、msn産経ニュースに、困窮と犯罪 出所した高齢者らへ支援という記事が出ました。シリーズ「負の連鎖 高齢者・障害者の再犯防止」の1本目で、回転ドアから抜けだした事例です。

始めのほうに、「県地域生活定着支援センター職員」とありますが、千葉県の話題です。終わりのほうに「開設4年目の支援センターを中心に、県内では自立困難で再犯リスクのある高齢者・障害者に手を差し伸べる輪が広がりつつある。」とあるのも、千葉県です。ですが、「開設4年目」にとまどった方も、いるかもしれません。5か月ほど前に同じmsn産経ニュースに出た記事、「県地域生活定着支援センター」開設4年 課題は運営費や人手不足 千葉のタイトルと、時間的に整合しません。mama★staにきょう出た記事、島田紳助が射殺され重体ではありませんが、あるべき順序が逆なのです。そこで、生活サポート千葉が出した案内パンフレット、千葉県地域生活定着支援センター 福祉と司法をつなぐ架け橋を見ると、今回の記事の「開設4年目」が正しいようです。では、前の記事はというと、本文のほうは正しい記述です。4年目どころか、まだ3年にもわずかに満たないときの記事なのに、タイトルだけがなぜか、「開設4年」と誤っていたのでした。

さて、「男性は出所後、センターの支援を受けて初めて介護認定を受けた。」とありますが、異性に求めるものの記事で言及した昭島と昭和島ほどではなく、誤解もないと思いますが、あと1文字を足すだけですので、正式な用語である要介護認定と書いてもよかったと思います。10年以上前の文書ですが、2015年の高齢者介護 ~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~から、参考(3) 介護保険制度における要介護認定の仕組みを挙げておきます。それとも、記者は「心身の状況に関する調査」のことを指したかったのでしょうか。

この記事で気になったのは、「がっちりした体格の入居者の男性(85)」の、障害年金が出るレベルの知的障害者である子どものあつかいです。「「倅(せがれ)を食わせないと…」。息子への思いから何度も、近くの小売店で食べ物を万引した。」とあり、「3回窃盗罪で摘発され、執行猶予期間中に再犯」というほど、自らを犠牲にして子どものために盗み続けた人で、出所後も「一旦は息子と暮らす自宅アパートに戻った」そうですが、からだが丈夫で要介護3になるほどの認知症とはいっても、子どものことはもう頭から消えたのでしょうか。「ここは退屈で仕方ないよ」といいつつも、子どもを心配することばはありません。そして、「「でも、ご飯が3食安心して食べられるのはありがたい」もう、食べ物のために盗みを起こすことはない。」とあり、盗みは「起こす」というよりは「おかす」もののはずなのはともかくとしても、子どもに食べさせるためだったはずが、いつの間にか、自分が食べたかったかのようになりました。記者は、この人は減刑ほしさに障害者をだしにする人だったとほのめかしたいのでしょうか。それとも、千葉市にはこの親子で入所できる、認知症対応型共同生活介護と障害者共同生活援助との両方を兼ねたグループホームがあるのでしょうか。

加害者の反省と反省の色とのどちらが優先ですか

きょう、京都新聞のウェブサイトに、謝罪せず再犯も 少年事件、進まぬ矯正に遺族怒りという記事が出ました。記事中では「WiLL もうひとつの子どもの日」と表記されていますが、もうひとつの子供の日 第15回『WiLL』を取材した記事です。もちろん、Amazon.co.jpでいつも高評価のWiLL(ワック)とは無関係です。

取材といっても、10月12日に開催されたものが、今ごろに記事になったかたちです。イベント報告にはつきものの、開催場所の情報は、本文、写真キャプションとも、「大阪市西区」だけになっていて、参加者がどのくらいいたのかも書かれません。そういう外形的なところよりも、中での声をとどけたいということなのでしょう。

石垣島から来たという富永広美という人は、少年にわが子を殺された親たち(黒沼克史著、文藝春秋)にも登場しますが、今回は賠償金滞納への対応のお話が印象的でした。「大きな精神的負担の上、経費が40万円かかった。」というリアリティが重く感じられます。そのあとのさけびは、「訴えたかった」までがかぎかっこに入っていますが、その前までではなく、ここまでさけび声に入っていたのでしょうか。「ホットペッパーを見た」のような、ことばそのままではないものをかぎかっこでくくったパターンのようにも思いますが、会場でさけびを聞いた方はいますでしょうか。

「大半の加害者から謝罪や誠意が見えない現実」も、大小数ある少年犯罪の中で、そういう特性の加害者に命をうばわれた人の遺族ばかりが集まった会だからこう見えるという見方もあるかもしれませんが、それでも重い事実であることには変わりないでしょう。COURRiER Japon 2014年1月号(講談社)でジョシュア・グリーンが、「道徳的な感情は本能でしょう」と言っていますが、その例外もあると考えるべきでしょうか。外から反省が見えないことに関しては、がっつり! プロ野球 Vol.5(日本文芸社)で北川弘美が、去年の阪神は「がんばります」と言っていても姿勢がそうでないと批判したことも思い出しますが、日本語版ウィキペディアで、発達障害を思わせる行動特徴を見せる人がブロックされた後にときどき見られる展開にも、やや似たところがあります。早々にメーリングリストへブロック解除を求めて、どうすれば反省したとみなしてもらえるのかを問いあわせて、そこでの好意的でない反応に反論すると、これをとらえて反省していないと突く人が出てきて、では何をすればいいのかと返して、という流れです。

福岡家裁ナイトツアーと「盗んだバイクで…」

きょう、読売新聞福岡版に、家裁ナイトツアーというローカル記事が出ました。チェスを使ったknight's tourではなく、夜に開催のイベントです。

記事には、「10~60歳代の29人が参加し、模擬少年審判などを見学した。」とあって、模擬審判以外にも見学したものがあったようです。すべてを1回ずつ見てまわったのなら、knight's tourでもあると思い、内容を確認してみると、福岡家裁のサイトの「家庭裁判所ナイトツアー」 ~ 少年審判ってどんなもの? ~という、ディレクトリ名がややほほえましいところでは、「行事内容」が4本立てだとわかります。ですが、このページからダウンロードできる案内ちらしでは、その4本のうしろに「・・・等々」とついていて、さらにほかにもいろいろあることになっています。

それでも、法服での撮影タイムがめあての参加者もいたかもしれませんが、主催者側からみたメインは模擬審判でしょう。読売の記事によると、今回が初めてだということで、「高校1年の少年が盗んだバイクを無免許運転」という事件を設定しての審判を演じたそうです。わかりやすい事例としてつくったのだとは思いますが、歳がばれるようなことを書くと、勝手に裏のねらいを感じてしまいます。盗んだバイクで走りだして、逮捕というかたちでしばられて、保護観察になって「自由になれた気」にはなれたでしょうか。開催日は十五夜つまり満月からはほど遠い日でしたが、高校1年なら15歳のこともあり、ナイトツアーだけに夜、というぐあいに、むだなことを考えました。少し前に、asahi.comに、盗んだバイクで走り出さず… 「さとり世代」生態、本にという記事が出て、さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち(原田曜平著、角川書店)が紹介されていますが、そこには著者の、行動力やむだの重要性を若者に説くべきだという取材回答があったことを思い出しました。そういえば、icoro magazine vol.4(icoro)には、事実上の編集長が「盗んだバイクで走り出すお年頃に」さとったことに、編集長がおどろく展開もあります。

すんだいBBS会の「社会を明るくする運動」

きのう、駿河台大学心理学部のウェブサイトが更新されて、社会を明るくする運動に参加しましたという記事が出ました。外の世界から見ると心理学とかかわりがありそうで、実は存在さえ知らない心理学者も多い、BBS会の活動の報告です。まん中の写真に写っている横顔は沢辺瀞壱市長で、どの写真も午後4時ごろのものだと思いますが、合っていますでしょうか。

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