生駒 忍

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娘の「痛恨の一言」と市場に誘引される女性

きょう、gooランキングに、父親として立ち直れない「娘からの痛恨の一言」ランキングという記事が出ました。娘から言われて立ちなおれなかったひとことではなく、「もしも娘から言われたら立ち直れない一言」の、ウェブ調査の話題です。

直接に載っているランキングは3位までで、ほかに「4位は《パパのと一緒に洗濯しないで》でした。」とあります。5位以下や、それぞれの得票率は、同じくgooランキングにきょう出た記事、父親として立ち直れないと思う「娘からの痛恨の一言」ランキング のほうから見ることができます。距離感が分からない親への助言の記事で触れたような態度をとりたくても、こういったことばの前には、たじろいでしまいそうです。

「1位は、《パパ臭い~》でした。」、ここだけほかと異なり、うしろをのばして発音するように書かれています。においがゆらりとただよってくる感じを連想させるようでもあります。

「2位は《パパキモい》。「キモい」と言われて傷つかない人はいませんよね。」、Kの新婚生活の「語り」の記事では、自ら「キモいサイトウ」と名のった人物を出しましたが、例外でしょう。においに比べて、どう対処したら改善できるかが見えにくく、無力感におそわれやすそうです。『お父さんがキモい理由を説明するね』の記事で取りあげたもののように、そこを直球で聞いていくのは、なかなかできないものです。

「3位には《親子だって思われるの恥ずかしいな》が選ばれています。」、こちらはIメッセージのかたちです。新版 女性が元気になる心理学(和田秀樹著、PHP研究所)には、「これまで自己愛が満たされてこなかった人ほど、恥に敏感」とありますが、だからといって、自己愛を満たしてあげなかった父親の自業自得だと決めつけるのも、無理があります。思春期の親子関係を取り戻す 子どもの心を引き寄せる「愛着脳」(G. ニューフェルド・G. マテ著、福村出版)が指摘する、今日の社会にひろがる「仲間指向性の子どもの「偽りの自立」」は、自然なはずの親子の愛着を、「仲間によって歪められた反抗心」によって、恥と思わせる要因になっているでしょう。買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?(D. ルイス著、日本実業出版社)には、「思春期になると、市場で「クール」とされていることを追うのに、常にプレッシャーを感じているといわれる。多くの若者にとって思春期は、自信が持てず不安な時期であり、中でも女性はその傾向が強い。」とあります。仲間から、市場からの誘引に、父親ひとりで抗するのであれば、相当に不利なはずです。