きょう、J-CASTに、「話の分かる」課長の悲しい酒 「飲みニケーション」が招いた悲劇という記事が出ました。「家庭円満のA課長(52歳)。」の、もの悲しい事例です。
「日本のビジネスパーソンは、弱音を吐かない、強い心と体が求められてきました。」とあります。日本にかぎったことではないと思いますが、ほかの国よりもということでしょう。日本人の謙虚さの記事で取りあげた、宋文洲の指摘とも関連しそうです。
「ある日、会社の健康診断データから医師に「お酒をやめなさい」と言われた。やめたら、その後、発汗、頻脈、発熱などが続き、「天井からネズミが自分を見ている」などと言い出した。」そうです。出てきた症状は、アルコール依存らしいすがたですが、ある日言われてすぐやめたことは、一般的なイメージとはずれるようにも見えます。底が浅かったのではなく、「弱音を吐かない完璧主義な性格。」だったからかもしれず、みごとなUターンだと思います。そういえば、地方消滅の罠 「増田レポート」と人口減少社会の正体(山下祐介著、筑摩書房)には、「Uターンは難しい。難しいのは構造的にそうなのである。」とありました。
「ある調査では、働く人々の多数が軽症のアルコール依存予備群の危険があると警告を鳴らしています。」、どこのどんな調査で、多数とはどのくらいでしょうか。わが国では、440万、ないしは450万という数値が、予備軍の数とも、予備軍まで含めた数とも言われて、よく出まわっています。アル法ネットのアルコール関連問題を正しく理解しようでは、このカットオフでよいかはともかくとしても、「アルコール依存症者と予備軍(AUDIT15点以上)」が294万人とあります。なお、おそらく同じWHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合的研究からの推計と思われるものとして、第2回アルコール健康障害対策関係者会議の配付資料には、同じカットオフで292万人とあり、少々ずれます。そのくらいは小さなことだともいえますが、その一方で、たとえばWeb Designing 2014年10月号(マイナビ)の「インターネット依存症421万人が持つ意味」と見くらべると、あるいはその中にもアルコール依存との比較グラフがありますが、小さな問題に見えてしまいます。Amazon.co.jpで評価がわかれている現代用語の基礎知識2016(自由国民社)の、「アルコール依存症」の項の中ほどで、「アルコールは、自殺との関係で最近改めて注目されている。」として主張される問題などを示して、重さで返すべきでしょうか。少なくとも、スマホの身体依存の記事で取りあげた、陰謀論的な理解をする人には、重さを思いしらせたいとは思います。
さて、最後に「メンタルヘルスから見た、「良い飲みニケーション」の5か条」があり、最初が「1:「飲みニケーション」は、「特急」のぞみ(飲んだら止まらない)ではなくて、「各駅停車のこだま」で行こう。」、最後は「5:翌日にアルコールが残らないように、短時間、適量飲酒にしよう。」です。お酒の入るたのしい時間、のんびり行こうと言われたかと思うと、「短時間」とひっくり返されてしまうようでもありますが、声がすぐ返るという意味もこめた、こだまでしょうか。