シリーズ第4弾です。
ワークブック293ページに、厚生年金保険の保険料に関する説明があります。そこに、「育児休業法による育児休業を取得期間中の者は、育児休業中の被用者年金の保険料が免除される(事業主負担も免除)。同様に、健康保険など被用者医療保険も保険料が免除される。」とあります。ここまでは、まちがいではないでしょう。育児・介護休業法という、より一般的な略称を使っていないことが、やや気になるくらいです。ですが、続いて「免除期間は3年である。」とあって、たしかに最大3年までの免除が可能になっているとはいっても、このように並べてしまうと、誤解をまねくように思います。
育児休業がどれだけ認められるかは、常勤の公務員なら子どもが3歳になるまでですし、民間企業であれば、法定外で自由に長く定めることもできます。ですが、文中には、育児休業法による育児休業とあります。育児休業法2条1号の定義からは、9条の3を除くこの法律でいう育児休業は、原則1歳まで、5条3項の適用で1歳6か月までが、この法律で認められる育児休業です。これを超す、3歳までの範囲は、引きつづき保険料の免除ができても、24条にある努力義務のほうにあたり、育児休業の制度に準ずる措置という位置づけがされます。厚労省が4年前の改正に応じてつくった、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の概要の5ページの図では、「育児休業」と「育児休業に準ずる措置」と呼びわけています。健康保険法43条の2は、「育児休業等」という用語で、両者をくくっています。
ちなみに、産前・産後休業は、労働実務事例研究 平成24年版(労働新聞社)にも出た話題ですが、「育児休業等」には含まれません。ですが、近いうちに保険料免除の対象になることは決まっていますので、気をつけてください。