生駒 忍

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自分を食べものにたとえた例と厚生年金会館

きょう、日刊ゲンダイDIGITALに、「今が円熟の域」と評判 タモリのブレない“仕事術”とは?という記事が出ました。

「昨年末は紅白歌合戦の総合司会のオファーを蹴り、話題になったが、3月放送の日テレ系「天才バカボン」でドラマ主題歌に初挑戦することが明らかになった。」とあります。「昨年末」の仕事のオファーをことわったとはいっても、「昨年末」にことわったわけではありません。10月中旬には明らかになり、話題になったことです。これに関しての、東スポWebに4か月前に出た記事、「タモリ辞退」紅白司会難航の裏にジャニーズの暗闘は、「ジャニーズ事務所内の“あの争い”、SMAP育ての親・I女史VS藤島ジュリー景子副社長が関係している」ことを取りあげていて、いま読むとまた、興味深いところがあります。

「タモリと親しい山本晋也カントク(76)」による、タモリが自身をパセリにたとえたと思われるお話が登場します。自分を食べものにたとえたら、という問いは、採用面接でよく使われるとされ、食べものだけに、うまい答え、味のある答えが求められます。芸能人が、目標や特徴を食べもので表現することも、めずらしくありません。NIKKEI STYLEの記事、赤井英和さん 漬け物のような名脇役にでは、赤井が「漬物は実家では主役だったが、一般的には脇役。」「僕の第二の人生もこうありたい」とし、どついたるねん(阪本順治監督)で第二の人生のきっかけをつくった恩人についても、「阪本さんの語り口は焼き肉と同じ。」とします。サイゾーウーマンの記事、壇蜜、新刊イベントでのセクシーアピールに取材陣から「プロだよな」の称賛は、握手会で壇蜜が「今後の目標は「ハムカツ」(※かにクリームやメンチカツに比べ地味だが代わりのないものでいたいと説明)」などと言ったことを取りあげ、「いかにも話題になりそうなフレーズを織り交ぜて話して」「実に巧みである。」と評しましたが、ハムカツのたとえは、黒髪の白拍子の記事、学徒ハムカツ。でわかるように、以前から使っているものです。また、より若いところでは、TokyoWalker 2015年11月号(KADOKAWA)での、有村架純のくるみパンのたとえがあります。有村のこれまでについては、下積み時代の記事超ミニ「ビリギャル」の記事でも取りあげましたが、それでいてくるみパンというのが、味があると思います。

「モダンジャズ研究会に在籍し、トランペットを演奏していた。」とした後に、「新宿厚生年金会館の近くにある『J』というジャズのライブハウスで、ジャズのスキャットやラップを披露してましたよ。」という、山本晋也の証言が続きます。ですが、早大在学中のタモリを、早稲高ですが大学は日大の山本が見ておぼえていたり、芸達者なタモリとはいえ、あの時代に早々とラップをしていたりと考えると、まったく別の時点でのエピソードだと思いたいところです。「新宿厚生年金会館」は、もう知らない若者もいるかもしれませんが、タモリの1回目の上京のときはすでにあって、いまはあとかたもなく解体されました。「タモリのSuperボキャブラ天国」の初期に、ここをもじった品のない作品があって、私にはさほど笑えなかったおぼえがあります。