生駒 忍

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「大人のひと」の書き方とマージナル・マン

きょう、毎日新聞のウェブサイトに、「大人のひと」と「社会人」という記事が出ました。

「就活がテーマの面を担当するようになって何人もの学生に取材を始めた頃、驚いたことがある。どの学生も社会人を「大人のひと」と呼ぶ。」、皆さんはおどろきますでしょうか。取材なので、おそらく声でとどくことばなのだと思いますが、ひらがなで「ひと」と書いています。漢字にすると同じ字が続いて感じがよくないので、こうしたのでしょうか。一方で、ひらがなにすることで、ソフトな印象にもなります。ですが、少なくともかしこいイルカが登場する作品の記事で取りあげたファミコンソフトは、いちじるしくハードです。

「学生は謙虚で、社会人を実際以上に「上」に感じているらしい。」と解釈します。就活のきびしい現実に鼻をへし折られて、謙虚になったのかもしれませんし、その謙虚さが内定をみちびくことを、願いたいと思います。そういえば、女性セブン 2月18日号(小学館)によれば、「なぜ離婚後の女性はモテるのか。」の答えのひとつは、「一度、結婚で失敗をしていて現実を知っているため謙虚で高望みをしない。」ことなのだそうです。

「記事を書くときは、「大人のひと」を「社会人」と置き換える。大人との境界をそこに置く学生たちの微妙な心理に、できるだけ敏感でいたいと思いながら。」と締めます。レヴィンが境界人、マージナル・マンの用語をあてたことを思わせます。ただし、レヴィンが境界人という表現をつくったと思っている人には、その根拠をうかがいたいところです。社会科学における場の理論(K. レヴィン著、誠信書房)の6章からは、そのようには感じられません。