生駒 忍

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ひとり歩きした生体リズムとホラービデオ

きょう、セルフドクターニュースに、スムージーだけはNG! 「休みボケ」が治らないのは、朝食が原因!?という記事が出ました。タイトルから私は、いろいろな食べ物のうち、スムージーのみ注意が必要だと理解しそうになりましたが、スムージーのみ飲むだけの朝食はよくないという意味でした。

「陸上で生活する生物には、生まれたときから自然にリズムを刻む「体内時計」が備わっており、これには光(太陽の出と入り)が深く関与しています。」、基本的なことを書いただけのように見えますが、誤解をまねきそうなところもあります。個体発生どころか、系統発生でみても陸上生活が一度もない種にも、体内時計があると考えることは自然です。PLOS ONEに昨年出た論文、Eyeless Mexican Cavefish Save Energy by Eliminating the Circadian Rhythm in Metabolismのような世界のほうが、特殊な位置にあります。また、リズムの始点が「生まれたときから」かどうかは、考え方によります。母体と独立かどうかはともかくとしても、胎児にもそれらしいリズムはあるようですし、胎内を考えると、EurekAlert!に先月出た記事、Failed synchronization of the womb's clock with mother's body clock critical in miscarriagesのようなこともあります。一方で、新生児は多くの時間を眠ってすごしますので、1日に対応するようなリズムがととのうのは、もっと後です。

「脳のもっとも奥にあり、脳に体の刺激を伝える「網様体(もうようたい)」も、睡眠と覚醒を担う」、「朝は光や音の刺激を網様体が脳に伝えるために脳が活動を開始し、夜になると網様体の働きが鈍るために脳が休息状態に入り、自然に眠くなるのです。」、網様体が脳の一部なのか、それとも別なのかが、はっきりしません。「はてな村奇譚」最終回の記事で取りあげた、奥の深いはてな村の最奥部に見たのは、穴になったよそのサービスだったというお話を思い出しました。

「人の生体リズムは約25時間」、この数字の根拠は、「24時間より長いそうですが」というあいまいな表現があるのみで、不明確です。おそらく、素朴なフリーラン実験のお話がひとり歩きしたものからでしょう。25時間はさすがに長すぎると、学問の世界の外に正しく知られるまでには、長くかかりそうです。

「寝る前にはネットやテレビを見るのはストップ。」とよびかけます。いま、子どもたちがあぶない! 子ども・メディア・絵本(斎藤惇夫・田沢雄作・脇明子・中村柾子・山田真理子著、古今社)に、「寝る直前まで、テレビゲームをしたり、ホラーのビデオを見ていて、では十時ですから寝ましょうといっても、脳はおちおち寝てられるかどうかです。」「脳の疲労は解消されません。」とあるのを思い出しました。