生駒 忍

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拒食症の定義における体重の基準と発症の一因

きょう、マイナビウーマンに、ただの食欲のムラと“過食症と拒食症”は何がちがう? 医師に聞くその原因と対処法という記事が出ました。

「そうです、「拒食症」と「過食症」は根本的には同じ病気とされており、極端な食事制限や食後の嘔吐、下剤の乱用によって標準体重の80%以下の低体重を維持しているものを神経性無食欲症、食後に強い罪悪感を感じ、体重を増やさないために嘔吐や下剤の乱用を行うが、やせにはいたらないものを神経性大食症として体重で区別されています。」、いろいろと誤解をまねきそうです。「体重で区別」というだけの単純なものではありませんし、すぐ前に、「俗に「拒食症」と呼ばれる「神経性無食欲症」と、「過食症」と呼ばれる「神経性大食症」」と表現したことから、DSMやICDだと思いそうになりますが、明らかに異なります。15%ではなく20%というのは、厚労省調査研究班の定義からでしょう。難病情報センターのウェブサイトにある、神経性食欲不振症の診断基準で、その6項目と備考を読むことができます。「ー20%」「―20%」「-20%」「−20%」と、次々に表記がうごくところには、性格と体型の類型論の記事で取りあげた「シェルダン」を思い出しました。また、第4項目が、診断基準としては独特です。日本摂食障害学会のウェブサイトのリンク集を公開場所にしている「「摂食障害の理解と治療」コンテンツ」も、「拒食症の診断」にはこれに近い基準を示していますが、過去の20%到達は問わないこと、第4項目に相当するものがないことなど、相違点もあります。なお、福祉教科書 保育士完全合格テキスト 2015年版 下(翔泳社)は、拒食症を欄外で取りあげ、「標準体重より20%以上減少している場合に栄養失調が心配されます。」とします。

発症の一因に、「体形に関する批判的なコメント」を挙げます。体重や体形のことは、気にしないでいられるとよいのですが、消費者問題が頭からはなれない苦しみの記事で取りあげた岡本杏理のようには、なかなかいかないものです。