生駒 忍

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生活保護ただ乗りへの怒りと紅白での長渕剛

きょう、東洋経済ONLINEに、なぜ「英国独立党」が支持を伸ばしているのかという記事が出ました。週刊東洋経済 12月20日号(東洋経済新報社)に載ったもので、キャメロン首相のスピーチから、イギリスの今後を考えています。

スピーチの主旨は、「英国の有権者は外国人が嫌いなわけではない。怒りの矛先は「ただ乗りする人」に向かっている。」「英国の有権者は、同国で働くポーランド人やリトアニア人には悪感情を抱いていない。快く思っていないのは、生活保護を目当てに渡英する移民だ。」というものだとします。これは、イギリスにかぎったことではないでしょう。ただ乗りへの嫌悪感には、進化心理学的な基盤があります。移民不要論批判の記事で触れたように、となりの国では、日本の生活保護を使わせるねらいの本が売れているそうですので、わが国でも、これからさらに、問題になってくる心配があります。悪質なただ乗りへの反発を排外主義と混同させての、かみ合わない議論がされる間に、取りかえしがつかなくなっているかもしれません。

「多くの人々が生活保護受給者を疎ましく思い、求人の倍率が上がることを恐れている」、ここは矛盾して見えます。求人倍率は、求人数を求職者数で割って求めますので、高いほうが多くの求人があることになり、生活者にとっては有利です。それとも、割り算を逆に考えているのでしょうか。それでも、生活保護のままくらしていける人は、求人倍率には関与しません。むしろ、生活保護をやめさせれば、不当に貯金をつむなどしていないかぎりは、はたらきに出ることになりますので、求人の取りあいになります。

「また、ポーランドやイタリア、フランスからの移住者は、ソマリアやシリア、インドからの移住者よりも、最終的に母国に戻る可能性がかなり高い。」と指摘します。はっきりは書かれていませんが、居すわって生活保護の「ただ乗り」を続けられる害は、EU外からのほうが可能性が高いのに、離脱をふくめたEUでの地位変更の問題を巻きこみかねないということでしょうか。

「停滞するユーロ導入国よりもずっと速い経済成長」はよいことだとしても、福祉と、国際協調とがからむ問題となると、むずかしいところです。和訳の第三の道 効率と公正の新たな同盟(日本経済新聞社)が出てすでに15年、ブレア政権の「第三の道」の評価はさまざまですが、キャメロン政権のとる道は、明るい未来へと続きますでしょうか。

それで思い出したのが、nikkansports.comにきょう出た記事、長渕、紅白で新曲披露「明日へ続く道」です。HOUND DOGのときとは異なり、すでに発売はされているので、NHK側もよしとしたのでしょう。なお、11年前の紅白出場時について、「長渕が提供した「狼たちの遠吠え」を歌った森進一がギターとコーラスでも登場した。」とあるのは、逆です。長渕の歌唱時に森が参加したのではなく、自分が書いた曲を歌う森のバックに長渕が入ったかたちでした。桑田佳祐との、もう30年以上前の因縁がいまでも話題になるように、長渕は主従を気にする人のようですが、まちがいとはいっても、森が格下にされるのであれば、むしろ笑うかもしれません。舌を出して笑うか、くすりとするか、草が生えるほどかは、わかりません。