きょう、日経ウーマンオンラインに、捨てられないココロの癖をラク~に直す “断捨離”が苦手な人も必見の処方箋という記事が出ました。
「「以前はボールペンが90本、靴下が60足もあり、モノにあふれた部屋に住んでいました」と言う心理療法家の川畑のぶこさん。」と書き出されます。数はとても多いのですが、どちらも小さなものです。いわゆるごみ屋敷のような「モノにあふれた部屋」の方向の世界は、ここでの主眼ではないというメッセージでしょうか。
使いきれないのに何でもためこむことを批判し、「それよりも必要なものを選び、丁寧に使い続けるほうが、『モノを大切にしている』と言えるはず。必要なモノだけに囲まれ、暮らしも豊かになります」とします。やはりここは、ベビーカーの外部不経済の記事で触れたような、「必要」のとり方による問題になるでしょう。また、他人から見たら、くだらないと言うことさえくだらないほどにくだらないものごとであっても、その人がどう思っているのかは、究極的にはわからないものです。ふと、産経ニュースにきょう出た記事、男子児童、教員に5分間諭され…下校後に自殺 さいたま、両親要望で再調査へを思い出しました。
「一気にやると、断捨離はつらい作業と脳が認識し、『もう二度とやりたくない』と考えてしまいます」、そこで「少しずつスッキリさせて達成感を得て、『断捨離は楽しい』と脳に認識させましょう」と提案されます。大きな成功体験には特別な快があるはずともいえますが、一般的な方向性としては、これでよいと思います。スタンプカードのようなトークンエコノミーは、総量は同じでも、一度にまとめてわたすよりもずっと効果的でエコノミーです。また、ことしの年末ジャンボ宝くじがあす発売となりますが、一度宝くじで億の単位で当てたために、強力に強化されて必死に宝くじを買いつづけるようになったというお話は、まず聞きません。
「捨てるかどうか悩んでしまうときは、「これを捨てたらどんなときに後悔するか」と考えてみよう。」、これは逆効果になることもありそうです。心理学的には、したことへの後悔よりも、しなかったことへの後悔のほうが長くひびくとされていますので、捨てて後悔するほうがましともいえます。ですが、「モノにあふれた部屋に住み続けるほうが後悔することになる」という発想がそれなりにある人なら、もう捨てていそうですので、捨てたときの後悔をわざわざ意識すると、よけいに捨てにくくなってしまいそうです。
チェックリストの後に、捨てないことのデメリットが、5点提示されます。1点目と4点目は、むだがほかのむだを呼ぶ問題です。あれもこれもあるつもりで、無影無踪になったのでは本末転倒で、むだどころではありません。そういえば、爆笑テストの珍解答500連発!! vol.5(鉄人社)には、無□無□という設問に「無駄無駄」と答えるものがありました。
2点目と4点目は、くらしの場をおかされることによる、いわゆる精神衛生上の問題といえます。わが魂にあうまで(C.W. ビーアズ著、星和書店)以来の精神衛生運動のような重さのない、一般的な意味での精神衛生です。なお、3点目は、見出しはむだがむだを呼ぶほうの仲間に見えますが、内容はこちらに近いようです。
「捨てること自体に罪悪感があります」に対して、「捨てるという痛みを知ってこそ次に生きる」、なかなかかっこいいことばです。ですが、ひょっとするとマゾヒスティックなよろこびなのかもしれませんが、ぱっと捨てることの快の側面を知ることも、罪悪感を乗りこえる力になるように思います。あたしンち 19(けらえいこ作、メディアファクトリー)のNo.28にある、「弟」が動画をこつこつと集めてはまとめて捨てるお話は、不可解に見えますが、両方のよろこびを実践する姿と見ればよいのかもしれません。