生駒 忍

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ゴルフでの効力期待と自由権訴訟の本気度

きょう、ParOn.に、【ゴルフ心理学】調子が悪い時は、今できることを実行しようという記事が出ました。

「結果期待」と「効力期待」という用語が登場します。これがバンデューラのものだとすると、ややねじれた印象の展開です。まず、ショートゲームできっちりカバーしていけば優勝するという結果期待はあまりなかっただろうという推測が、先に書かれます。ですが、効力期待の議論では、「藤田プロにとっての“~すれば”は、ショートゲームでのカバーであったと考えられます。」と書かれます。では、ショートゲームでカバーすれば、何が結果として得られると考えたのでしょうか。優勝では、結果期待の推測とはうまくなじみません。はなれた段落にばらしてはありますが、別々の結果に対する結果期待と効力期待とが同時に登場して、しかも後者のほうでの結果が明示されないのでは、読みにくく感じます。

「一流メジャーリーガーに対する調査でも、絶好調は全体の1割で、ほとんどは普通か、ちょっと調子が悪い状態であり、どんな状態でも、今できること、できないことを把握して、今できることをするのが、メジャーリーグで生き残るすべであることが報告されています。」とのことです。その研究報告を、不勉強な私は把握していないのですが、「絶好調は全体の1割」はともかくとしても、直観的には納得できるところです。こちらはサッカーですが、ひらめき待ち批判の記事で取りあげた、宮間あやのことばを思い出しました。

「自分とプレーオフを戦う人はイヤでしょうね。大きなミスはしないし、ボギーを打たないから」、優勝した藤田寛之プロのことばのようです。林修の仕事がうまくいく「話し方」講座(宝島社)は、「消極的」の言いかえとして「堅実」を示しました。抑うつのパラドックスのようですが、ライバルが積極的にリスクを取り、自分の努力にかかわらず向こうの成否で勝負が左右されるという外的帰属の無力感と、相手はまったくペースを乱すことがなく、ほぼこちらの成否だけで勝負が決まる内的帰属の自責感と、皆さんはどちらのほうが、よりこわいでしょうか。もちろん、「究極の選択」のような回避-回避のコンフリクト状況ではなく、現実には、逃げる自由もあります。

自由で思い出したのが、msn産経ニュースにきょう出た記事、「禁酒通知は自由権侵害」と損害賠償1円請求 福岡市に職員です。福岡市の飲酒運転問題については、市職員逮捕者続出の記事で取りあげましたが、2年以上前の1か月の「禁酒」から、現行憲法で職場に1円を要求する勝負、本気の修羅の世界なのかどうかよくわからないところも、外野としてはおもしろく感じます。そういえば、どちらも1年ほど前に出たものですが、CROSSBEAT 2013年11月号(シンコーミュージック)では久保憲司が、マヌ・チャオがどこまで本気かはわからないとうたがい、週刊文春 9月19日号(文藝春秋)では適菜収が、民主党政権をリング型と表現して、プロレスのようでどこまで本気かわからないと評しました。