きょう、YOMIURI ONLINEに、小学校臨時職員の28歳、ミステリー作家デビューという記事が出ました。第23回鮎川哲也賞を受賞した、市川哲也というミステリー作家を紹介しています。
紹介といっても、受賞発表は4月で、受賞作である名探偵の証明(東京創元社)は10月に出て、選評が載ったのもミステリーズ! vol.61(東京創元社)ですから、2か月前の巻です。ほとんど誰も見ていないようですが、東京創元社公式チャンネルに第23回鮎川哲也賞受賞者 市川哲也先生 受賞コメントの動画が出たのは、11月上旬でした。ですので、今さらという印象もありますが、「情けは人のためならず」報道の記事で記者の夏休みの可能性を指摘したように、連休とクリスマスとで記者が休んでいて、そのぶんの埋め草用に、書きためてあったのかもしれません。それでも、今年のニューカマー、夢に近づいた人へのインタビューですので、年の暮れらしい記事ですし、こちらも元気をもらえます。
「作品に込めた思い、作家としての今後について聞いた。」とありますが、この2点の話題はあまりなく、これまでのことが記事の中心です。その中で、「小学生の時には、テレビで活躍するマジシャン、Mr.マリックさんのトリックを見破ることに熱中し、推理や心理学に興味を持った。」とあるところに、注意をひかれました。マジックから心理学へ興味が向かうのは、心理学がわかる人から見ればつじつまが合うのですが、この世代でというのはめずらしいと思います。マジックにだまされるのはなぜか 「注意」の認知心理学(熊田孝恒著、化学同人)が出たのは、昨年のことです。心理学をつなげせさる特異なマジックとしては、昨年にブームの山があった「メンタリズム」がありました。新刊JPにきょう出た記事、メンタリズムブームの仕掛け人たちが明かすその正体は、メンタリズムを「哲学用語で「形而上」という意味」と書くなど、気になるところはありますが、DVD-BOOK メンタリズム フォーク・スプーン曲げ 曲げ方完全解説(KOU・村山惇著、扶桑社)をわかりやすく紹介しています。
「働きながらでもいいから、小説家として生き残りたい。」と言っているところには、作家の仕事は「働き」ではないとでもいうような考え方がうかがえます。私たちはなんのために働くのか 「働く意味」と自分らしい働き方を考える(諸富祥彦著、日本能率協会マネジメントセンター)にある、明大生の「働くことの三つの価値観」でいえば、一つ目でしょうか、それとも二つ目でしょうか。この本には、「きれいごとは通用しない時代になってきた」、「本音を言えば「働きたくない」」という節もあります。