生駒 忍

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「自主的」が「主体的」に書きかえられています

シリーズ第29弾です。

ワークブック242ページに、「表7 住民等の主体的参加」という表があります。これは、社会保障審議会福祉部会による市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について(一人ひとりの地域住民への訴え)から、一部の内容を抜粋したものです。その一部とは、「市町村地域福祉計画」の「(2)計画策定の体制と過程」の中の「⑤ 地域福祉計画策定の手順」のことです。そこにある4項目が対象です。

ただし、その整理のしかたには、好ましくないところがあります。原文と見くらべていただくとわかりますが、基本的には、骨組みから遠いところを少しずつ削ってととのえる方針がとられています。同じ文の中に「明か」と「明らか」との両方が出てくる表記のゆれについては、「明らか」にそろえています。ですが、その中で特異な変更が加わっているのが、4項目目です。原文で、「このような住民等による問題関心の共有化への動機付けを契機に、地域は自主的に動き始めることとなる。」とあるところが、この表では「住民等による問題関心の共有化への動機付けを契機に、地域は主体的に動き始める。」となっています。「自主的」が「主体的」に書きかえられているのです。ほかのどの項目でも、原文の表現をほぼそのまま残しているのですから、似た意味のことばだとはいっても、ここだけをわざわざ書きかえてしまうのは、適切ではないと思います。この表につけた、「住民等の主体的参加」というタイトルに合った内容があったように見せたかったのでしょうか。ギリシャ神話の、プロクラステスの寝台のお話を思い出します。