生駒 忍

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東京一極集中による少子化と地元礼賛の根拠

きょう、マイナビウーマンに、地元を捨てたなんて言わないで!? 上京組女子は地元と東京、どっちが好き? 61.4%が〇〇!という記事が出ました。

「そこで今回は「地元と東京、どちらが好き?」という質問を、上京経験者のみなさんにぶつけてみました!」という内容です。いまどこにいるかは別にして、地方からの移動の経験がある人が対象ということのようで、げんきワークに2か月半前に出た記事、退職理由の例「結婚や体調不良のほか、今すぐ使える具体例」では「「介護や家庭の事情など、帰郷」が退職理由の例」に使われた画像があります。私としては、東京からの移動の経験がある人についても調べて、地元かどうかの比較と、東京かどうかの比較とを比較したいとも思ってしまいますが、まだ東京で消耗してるの?の人があまりに有名である一方で、現実としては相対的に少ないことがひびきます。この機会にひとこと言いたい京都人はともかくとしても、上京の対義語がぱっと出てこない人も少なくないことでしょう。まち・ひと・しごと創生本部が、出生率の日本一低い東京に若者が移動するのが少子化をきつくしているとみて、地方に移らせようとしていることともつながります。ただし、JRIレビュー6巻の「東京一極集中是正」による少子化対策の妥当性を問う-地域別出生関連指標からの示唆が指摘するように、東京でなければそれでよいというものではなさそうです。また、待機児童問題が目だっているのは日本全国のうち一部で、それ以外では保育所の統廃合さえ進んでいるのに、きたないことばを発するほどに待機児童問題に苦しむ人が、楽になれる地方には下向しないのも、それ以上に耐えがたい要因とてんびんにかけてのことでしょうから、むずかしいところです。

「「東京は便利だけど空気が悪すぎる」(27歳/電力・ガス・石油/営業職)」、納得しますでしょうか。女子大生が考えた!シンプルな売れるお店の法則と地域活性化 実践から地域活性化を考えた短大生の奮闘記(仁愛女子短期大学さわざきゼミ著)の第2部にも、八十島光歩という福井県民の声のようですが、「よく県外に買い物に行ったり遊びに行ったりしますが、いつも思うことは、東京など都会は空気が悪いということです。」とあります。「電力・ガス・石油」を売って、空気をよごしている人が何を言うと思った人もいるかもしれませんが、東京の便利さには、こういうお仕事にささえられた面があることも、忘れてはいけません。

「ほかには、「東京のごちゃごちゃ感が苦手」や「人が多すぎる」という声もありました。」とあります。「人が多すぎる」は、先ほどの創生本部の視点からは、地方へと戻らせる要因に読めそうでも、少子化問題とは逆向きに見えるものでもあります。また、「ごちゃごちゃ感」は慣れる人も多い一方で、ほんとうの地方からは、東京のレベルに達しなくても、きらう要因になるようです。損したくないニッポン人(髙橋秀実著、講談社)では、地元の富山をたたえて金沢には否定的な女性が、「活気は疲れます」と説明しました。

「「東京は便利だけど……」という上京経験者のみなさん、ぜひ東京のいいところを見つけてみてください!」と締めます。「やっぱり「地元が好き!」という回答が多くを占める結果」にはこびずに、しかも前向きです。よいところを見つけようという感覚は、ポリアンナ新訳の記事で取りあげた小説のようです。