生駒 忍

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音楽療法士の言う最低収入と貯金で買う時間

きょう、LAURIERに、「好き」を仕事に! 「好きなことで食べてゆく」4つの方法という記事が出ました。

「今回は、今年こそは「好き」を仕事にしたいとお考えの女子に対して、どうすればそれが実現されるのか? について見ていきたいと思います。」という内容です。こういうテーマに関心をもつ人には、「女子」ですのでイメージがつながりにくいかもしれませんが、搾取される若者たち バイク便ライダーは見た!(阿部真大著、集英社)で論じられた、「「好き」を仕事に」のこわさも、知ってほしいところです。

冒頭の事例が、「「好きなことを仕事にしようと思えば、結婚しちゃえばいいと思います。」というものです。ですが、いわゆる永久就職のことではなく、「ふたりで働いたら最低でも月収が30万円くらいにはなるので、お給料の安い仕事も転職の選択肢に入ってきます」という考え方です。「最低でも月収が30万円くらい」、これは東京都でしたら、907円の最低賃金レベルですので、最低にもほどがあると思った人もいるでしょう。それを「音楽療法士」が言ったということが目に入り、よけいに気になった人もいるかもしれません。ふと、マイナビウーマンにきょう出た記事、こんな暗い人って苦手ですか? ぶっちゃけ「我ながら暗いなぁ」と思うこと4選に登場する、「用事がなければ一日中家に引きこもって布団の中でネットサーフィンしていること」と、非生産的なイメージを見せた「クリエイティブ職」というコントラストを思い出しました。

「アメリカの小説などの文芸分野の編集者は、既婚女性が多いそうですが、理由は編集者のお給料が安いことだそうです。」、これはもちろん、すぐ後にあるように、ほかにも理由がある中での一因です。わが国では、絵本の翻訳を出したくてしかたがない既婚女性が多くてというお話を聞くことがありますが、これはまた別の要因が効いているとされます。

「貯金とは、好きなことを仕事にするために、スキルを身につけるために必要なものであり、同時に「時間を買う」ためのものです。」とします。その「時間を買う」ために、時間を売ってはたらくわけですから、売った時間でそれ以上の時間が買える人には、とてもよさそうです。一方で、メキシコの漁師だったり、南の島に行った証券マンだったり、いろいろなバリエーションがありますが、あのおなじみの寓話が頭にうかぶところでもあります。