生駒 忍

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薬物の経験率と「猫派」ではなかったフロイト

きょう、マイナビ学生の窓口に、科学者が教える「人より頭が良い人たちのサイン」7つという記事が出ました。

「世界各国の科学者たちの研究により、これまでに頭が良さに影響するさまざまな要素が発表されています。そのうちの7つをご紹介します。」と書き出されます。頭がよさそうな印象を受けにくい文なのはともかくとしても、末尾に出所らしいものとして示された、Business Insider Australiaの記事、8 science-backed signs you're smarter than averageは、タイトルからすぐわかるように、8種類を取りあげたものですので、「7つをご紹介」ということは、ひとつは紹介しないということです。そして、見くらべなくても、ひと目見ればすぐ、「You've used recreational drugs.」だと見当がつきます。説明にははっきり、illegal drugsとありますし、日本向けには向かない話題です。健康心理学・福祉心理学問題集119(生駒忍著、デザインエッグ)にも関連する選択肢を入れましたが、こういった薬物の使用率の低さでは、わが国は世界的にみて異例です。厚生労働省による薬物乱用の現状と対策で、「主要な国の薬物別生涯経験率」をご覧ください。

それを除いた、出所にあるものを、2番目を「痩せている」にして反時計回りかと思わせながら、原則として時計回りに示していきます。伝聞調にしたほかは、いわゆるイタコ訳というほどのこともなく、心理学的な表現や用語も知ってか知らずかさけられて、読みやすい訳という印象です。「左利き」ではオリジナルな追記、「猫派」では後段がなくなっているといったくふうが認められます。

その「猫派」の研究知見は、LiveScienceに1年4か月前に出た記事、Dog People vs. Cat People: Who's More Outgoing? More Intelligent?にあるものでしょう。捨て猫集団の問題の記事で取りあげたように、ネコは統合失調症などの精神疾患とも関連しますし、ある側面だけでどちらが心理学的によいかを決められるものではありませんが、神のカウンセリング(C. エレーナ・仁愛著、ハギジン出版)が正反対として位置づけたように、イヌかネコかという対立軸は、こころの何かとつなげたくなるものです。

それで思い出したのが、フロイトの名言として出まわるフレーズです。ネット上で、「猫と過ごす時間は、決して無駄にならない」、ないしは「猫と過ごす時間は、決して無駄にはならない」ということばが、なぜかフロイトによるものとして広まって、困ったものだと思っていたのですが、猫に名言 フロイト、ユング、アドラーの50の言葉(清田予紀著、主婦と生活社)には、前者のほうで堂々と出てしまいました。ですが、Freud Museum LondonのウェブサイトのFrequently Asked Questionsによると、そのような発言は見あたらない上に、フロイトはネコを好まず、むしろ「犬派」だったのです。