きょう、朝日新聞デジタルに、日本一短い私鉄、揺れも「味」 紙切符、ファンにも人気という記事が出ました。
「JR御坊駅(和歌山県御坊市湯川町)の0番ホームから西御坊駅(同市薗)までの全長2・7キロを結ぶ、日本一短い私鉄「紀州鉄道」。」と書き出されますが、これでよいのでしょうか。御坊駅は、管理はJR西日本ですが、共同使用駅ですので、私鉄の起点として書くときに「JR御坊駅」なのは奇妙です。起点はホームで終点は駅というのも、アンバランスです。また、「日本一短い私鉄」も、定義によります。鉄道事業法施行規則4条1号の範囲に限ったとしても、芝山鉄道のほうが、さらに2割近く短いです。業界団体である日本民営鉄道協会に加入していないと、あるいは出資者に自治体も含まれるなら「私鉄」と呼んではいけないという条件をつけないと、勝てません。それとも、古い資料にあたってしまったのでしょうか。鉄道なんでも日本一(櫻田純著、PHP研究所)には、「一方、日本一営業距離が短い私鉄は、長らく紀州鉄道の二・七キロでした。」「ところが、芝山鉄道が東成田~芝山千代田間の二・二キロという超ミニ路線を開業したことから、紀州鉄道は二位に転落しました。」とあります。2002年のことでした。
「73年に名称変更したが、地元の人は今も「りんこう」と呼ぶのだそう。」、地方らしい時間の流れに感心するところでしょうか。40年前に出た昔の名前で出ています(小林旭)よりも昔の名前のままなのです。ふと、イニシエーション・ラブ(乾くるみ作、文藝春秋)で石丸美弥子が、国電からJRになって数か月でもうなじんでいた展開を思い出しました。
昔ながらの硬券に、「何ともレトロだ。鉄道ファンに人気があり、九州からも訪れる人がいるという。」とします。タイトルには「ファンにも」とありましたが、本文からは、ファン以外からの人気は読みとれません。それでも、しっかりとファンがいるのは、ありがたいことです。
それで思い出したのが、J-CASTにきのう出た記事、列車の警笛装置のカバーを接着剤で塞ぐ トンデモ「撮り鉄」にJR東日本「刑事告訴も検討」です。鉄道ファンでも、こちらはいわゆる「撮り鉄」で、仲間にはありがたがられることをしたようですが、一般的な感覚では、あってはいけないことでしょう。安全運行のための装置を封じ、しかもよりによって、自分は外にいて乗ることのない車両でという発想は、理解しがたいです。「カバーが空いている状態はダサい」という美意識がそこまで強力なのでしたら、公共の場所、他人のものではなく、自分たちでのびのび楽しめる場所をつくって、好きなかたちの車両を走らせて、好きなだけ撮ったらよいのにと思います。お金がとてもかかるので絶対いやだと言われそうですが、極論を言うと、産経ニュースにきょう出た記事、殺人容疑で19歳名大生逮捕「殺してみたかった」 おので77歳女性殴り首絞めの、「子どものころから人を殺してみたかった」女子学生にくらべれば、法をおかさずに、一般の人に迷惑をかけずに、お金でやりたいことが実現可能なのです。それとも、自分たちのものを撮ったのではつまらなくて、みんなのものを自分のもののようにする支配感、優越感がほしいのでしょうか。アートだ、グラフィティだと主張して、他人の家やお店、公共施設などを汚損して、消すとその上をまた汚しにいくほどの人が、自分で買った家で、好きなだけデコレーションをしては消してをくり返しはしないことに、やや似ているかもしれません。