生駒 忍

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「発達障害は育て方の問題」と女性のASD

きょう、京都新聞のウェブサイトに、心の病気、知って理解を 京都のNPO、冊子作成という記事が出ました。「中高生向けの啓発冊子「知ってほしい、心の病気のこと。」」の紹介です。

「心の病気は誰もがなる可能性があり適切な治療で回復に向かうが、偏見が強く、受診の遅れや孤立、いじめにつながっているという。」、いじめにもつなげることは、「心の病気」の啓発では、あまりみかけません。これは中高生向けだからでしょうか。あるいは、統合失調症ばかりにかたよらずに、発達障害も取りあげることと関連するでしょうか。発達障害といじめ “いじめに立ち向かう”10の解決策(C. グレイ著、クリエイツかもがわ)という本もあります。ですが、発達障害には、「誰もがなる可能性があり適切な治療で回復に向かう」という表現は、向かないと思います。

「対人関係がうまく築けない自閉症スペクトラム障害の少女」の事例が登場するそうです。自閉スペクトラム症という表記には、あわせなかったようです。また、割合としては少ないことが明らかな、女性の事例にしたところがユニークだと思います。

「「発達障害は育て方の問題」などの偏見や誤解」、このあつかいは、議論がわかれるところでしょう。少なくとも、子ども虐待という第四の発達障害(杉山登志郎著、学習研究社)のようなものを入れるなら、育て方の問題は明らかです。また、悪意のある虐待でなくても、不適切な育児行動が発達障害と関連するような指摘もあります。メディカルズアイの記事、赤ちゃんを強くゆさぶらないで!は、乳幼児揺さぶられ症候群について、「場合によっては、脳に障害が起き、知的障害や身体障害だけでなく、一見発達障害や学習障害などの後遺症が残ったりすることがあります。」とします。

入手方法ですが、「同法人メンバーが中学や高校で講演を行う際にのみ、冊子を生徒に配る。講演の希望者は事務局の洛南作業所に電子メールで申し込む。」とあります。ペイドパブかどうかはともかくとしても、興味をひく制作物を示して、それを材料に講演のお仕事が向こうから寄ってくるようにする、ややインバウンドマーケティング的な手法のようにも見えます。