生駒 忍

記事一覧

女性の貯金好きと手段を目的化する日本文化

きょう、J-CASTに、働く女子は、2015年も「貯金通帳」を見て悦に入るという記事が出ました。

「20歳~59歳の男女ビジネスパーソン1000人を対象に、「2015年の目標」を聞いたところ、トップは「貯金」、次いで「年収UP」、「ダイエット」の3つ」という調査結果の紹介から入ります。「1位の「貯金」は、男性の43.2%に対し、女性は62%と、約18ポイントも高く」、「一方、2位の「年収UP」は、男性(43.8%)に対し、女性(37.8%)と、やや女性の意欲が低い様子。」です。「「年収アップできたら嬉しいけど、望めそうもないし、とにかく貯金しなきゃ。ダイエットは当然でしょ」と、微妙に悲観的な女性」という解釈がされていますが、これを悲観的ととる見方はやや悲観的に思えますので、保守的、現実的と理解したいところです。

「女性では圧倒的に「貯金」(62%)の割合が高い」という強力な量的知見に、知人OLの「預金通帳の数字が増えていくことだけが楽しみ」という発言を足して、議論が進められます。となりの国は、昨年末に産経ニュースに出た記事、韓国国民は「借金漬け脅威」高利貸にはまり、「信用不良者」のレッテル…スマホ低迷だけじゃない韓国経済の内憂のような状態ですが、昔から貯蓄好きだといわれるわが国の、若い女性の性向は強力なようです。若者は本当にお金がないのか? 統計データが語る意外な真実(久我尚子著、光文社)によれば、「可処分所得が増加しているのは若年単身世帯の女性のみ」という中、「若年単身世帯の女性については、貯蓄現在高は大幅に増加」しています。「男女の金融商品の保有率を比べると、女性では男性より安全性の高い商品(定期性預貯金)を好む傾向」の指摘もあります。日経電子版に1か月前に出た記事、男女の行動の違い(1) リスクの取り方に性差にあるような性差のあらわれでしょう。あるいは、お金だけでなく、食の安全をめぐる「風評被害」の加害や、NIMBYやNIABYな社会インフラへの反対運動でも、似た傾向を感じます。

さて、「「仕事や暮らしぶりは質素だけど、友達もそんなにいないけど、貯金だけは私を裏切らない・・・」と、ひそかに通帳を見て口元をゆるめる瞬間は、誰にも見せられません。」、ひそかなしあわせのようです。ですが、本来、お金は手段で、使うためのものです。心が和む 日本の名言(リベラル社)に取りあげられた、豊臣秀吉のことばでもそうですし、現代ではたとえば、auto sport 3月28日号(三栄書房)にある、福井敏雄がトヨタ自販の経理担当者に、お金は金庫に入れておいても無意味だと言われたお話もあります。それでも人は貯めて、貯めること自体が目的になってしまうのは、意外に日本的な感覚をふくむのかもしれません。近年、「オタク文化」やガラパゴス化に、手段の目的化を見いだす視点が登場しています。BLOGOSの記事、「ハッカー文化」と「オタク文化」の違い、または手段の目的化によるイノベーションがその問題提起ですし、PLANETS vol.8(第二次惑星開発委員会)にも、同様の議論がありました。そういった手段の目的化を、貯金そのものに楽しく載せたのが、人生銀行(タカラトミー)です。欲しがらない若者たち(山岡拓著、日本経済新聞出版社)では、「少子化に悩む玩具業界では最近珍しいヒット商品だが、火つけ役は20代だったという。特に女性ではその傾向が強く、初年度は20代が3割を占めていた。」と紹介されました。ふと、週刊文春 9月4日号(文藝春秋)で、そういう芸風の女性なのですが、「やっぱ女子供だまさねえと金は儲かんねえ。」と、えげつないことを書いた人を思い出しました。

えげつないで思い出したのが、ぴんくという人のきのうのツイート、うちの大学に露出狂現る! →なんとそれが大学の教授です。女性を敵に回すといたい目にあう、というような私事のレベルではなく、犯罪の域のように見えます。この「女学生」は、ここに持っていくことを目的に持っていたのか、この展開でできることをと、手段から進んでしまったのか、どちらだったのでしょうか。