生駒 忍

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日本の若者がねらわれる理由と加害者の兆候

きょう、Benesse教育情報サイトに、「だまされない大人」に育てるためにできることという記事が出ました。

「2014(平成26)年12月、警察庁の発表では、振り込め詐欺の1~10月の被害額が約293億9,000万円に上り、過去最悪のペースで増えているとされています。」と書き出されます。14年の振り込め詐欺被害額が過去最悪 約293億9000万円のことを書きたかったのだと思います。ここに限らず、国語力の気になるところが散見される文章ですが、「若者がだまされる詐欺的トラブル例」が本題ですので、ここは読みとばしてよいでしょう。

「子どもたちは19歳までは「未成年者」として法律で守られていますが、20歳の誕生日を迎えた途端、多くの危険にさらされます。」として、かこみの中に5事例が列挙されます。ですが、下のほうの事例は、法律上の「20歳の誕生日」とはとうてい無関係なものに見えます。

「だまされる背景」のひとつに、「リアルな人間関係が希薄になっている」ことを挙げます。@DIMEに出た記事、【LIFE HACKS】外出や人との交際の頻度が減って“草食化”が進む先進国には、「経済成長著しい国では、人との交際に積極的で、男性は大盤振る舞いする傾向」、一方で「先進国では、外出・人との交際の頻度が減り、“草食化”が進んでいる」とありますので、この要因でだまされるようになる傾向は、ほかの先進国にもありそうです。ですが、この調査は、対象国の選択が独特であることに、注意が必要でしょう。ちなみに、わが国の子どもの場合ということになると思いますが、日経Kids+ 心の教育(日経BP社)によれば、「金遣いが荒くなった」、「付き合っていなかったはずの友達と最近仲がいい、妙にテンションが高い」、これはその子がいじめ加害者になった兆候なのだそうです。

「リアルな友人であっても、ネットの中ではたくさん話しているけれど実際には長い間会っていないということも多く、困ったときに相談できる親しい友人が少ないことも若者がトラブルに遭いやすい要因です。」ともされます。親しい友人はいても、昔の意味での「親友」ではなくなっています。震える学校 不信地獄の「いじめ社会」を打ち破るために(山脇由貴子著、ポプラ社)にあるように、いまは親友だからこそ、ほんねを言えないのです。あるいは、対面ではっきりと言うことがうまくできないということもあるでしょう。そういえば、日刊ゲンダイのウェブサイトにきょう出た記事、22歳女性1カ月監禁レイプ…インドで日本人が狙われるワケには、「白人女性は体格がいいし、ヘタに誘うと怒り出すので声をかけませんが、日本人女性はきっぱり拒絶できないのでターゲットにされがち。」という指摘がありました。

「だます側のテクニックは今後も想像を超えて巧妙化するでしょう。」という中でも、結論はやはり、「学校と家庭が連携して「だまされない大人」を育てましょう。」となります。1か月ほど前に、世界一騙されやすい日本人 演技性パーソナリティ時代の到来(和田秀樹著、ブックマン社)という本が出て、しかもその帯にならんだリアルな似顔絵の3人が、もう過去の人になってしまっているという流れの速い時代、なおいっそうの努力が求められそうです。