生駒 忍

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いちごイヤーの新年とスカイベリーの登録時期

きょう、東洋経済ONLINEに、スイーツ業界が「いちご」に熱狂する理由という記事が出ました。

「語呂合わせのようだが、「15=いちご」。2015年は100年に一度の「いちごイヤー」なのだ。」、ようだも何も、ふつうにごろ合わせだと思います。「今だけ」商法の記事で取りあげた東京駅記念Suica騒動で、100周年記念は100年に1回だからと興奮していた人は、さらに100年後が100周年ではなく、200周年になることが理解できていなかったようですが、こちらは100年に1回という理解でよいでしょう。20世紀少年 9(浦沢直樹作、小学館)に登場する「しんよげんの書」のように、西暦が2015年で終わるとしても、今回の「いちごイヤー」はおとずれます。

飲食店側の例として、資生堂パーラーのサロン・ド・カフェの「2015 こだわりの“苺”フェア」が紹介されます。フェア自体については、macaroniの記事、資生堂パーラーでこだわりの苺フェア開催!苺パフェが美味しそう?のほうが参考になります。

生産者側の例として、安来市での企画を紹介した上で、「そもそも100年に一度の「いちごイヤー」とはいえ、今年だけ収穫量を増加させることは可能なのであろうか?」と問いかけます。ですが、明確な答えは示されません。すぐ、日本一のいちご産地、栃木県の話題となり、数値がならびます。「年」と「年産」との使いわけも適切です。「栃木県のいちご収穫量は平成17(2005)年をピークに一転、減少に」、「作付面積に至っては、昭和50年から右肩下がり」という指摘は、両者の間の1文がうまくつなげにくいことはともかくとしても、「今年だけ収穫量を増加させること」はむずかしいだろうという雰囲気を出します。

「もっとも昨年は日本で唯一、イチゴ専門の公設研究機関である「栃木県農業試験場いちご研究所」で「とちおとめ」の後継である「スカイベリー」も開発され、期待が高まる。」、これは日本語としてだけでなく、内容も適切ではありません。とちおとめが女峰に取ってかわったように、スカイベリーがとちおとめの後をつぐとは考えにくく、むしろあまおうのシェアを取るねらいの新品種だと思います。また、開発が昨年というのも、事実に反します。日経電子版の記事、打倒あまおう イチゴ王国・栃木、17年ぶり大型新人 新品種「スカイベリー」によれば、2012年にはすでに販売されています。そして、栃木県のウェブサイトの文書、「スカイベリー」誕生物語によれば、品種登録、商標登録とも2011年です。ですが、私が確認できた範囲では、2011年にそれらしい商標登録は見あたらず、商標のほうは、おそらく1年後のはずです。栃木県が、2012年に2件、2014年に1件、「スカイベリー」で商標登録を出願し、登録したことは確認できています。いずれにしても、まもなく新年、2015年をむかえるにふさわしい記事だったところを、最後に正しくないことを書いてしまったようです。ふと、アナと雪の女王 年賀状2015(エムディエヌコーポレーション)に、「年賀状の作成で、最も失敗が多いのが印刷です。」とあるのを思い出しました。