生駒 忍

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性交経験の逆転と忘れられるスーフリ事件

きょう、あなたの健康百科に、高校生の性交経験、近年最低レベルに―"欲求"も少なく 「児童・生徒の性」実態調査という記事が出ました。

「8月30~31日に茨城県内で開かれた日本思春期学会の会合」、これは第33回日本思春期学会学術集会のことで、会場はエポカルつくばです。私は参加しなかったのですが、この研究報告は、2日目にあったようです。

中ほどにある図、「高校3年生の性交経験率」は、前回調査で現れた男女逆転の拡大を示しています。逆転は、男子の減少以上に、女子の以前からの減少傾向が、大きく進むことによっています。AV女優を志望する若者が増えすぎて、大変な狭き門になったといわれて久しいですし、女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち(仁藤夢乃著、光文社)では、貧困とも家庭問題とも無縁な「生活安定層」までもがJK産業に手を出し、九州地方では性的サービスの時給が800円という例もありましたが、性意識が二極化していると考えるべきでしょうか。

「中3までに射精(精通)を経験した男子は、2002年の59.4%から2014年には49.2%へと低下」したそうです。発表を見ていないのではっきりはわかりませんが、実際には中3までではなく、中3の調査対象者が調査に回答した時点まででかもしれません。それでも、今回もいつもの調査時期に実施されているなら、大きな差はないでしょう。初潮の低年齢化で示される発達加速現象は、フリン効果よりも教科書に載りやすい話題ですが、いずれは男子の発達「減速」現象も併記されるようになるでしょうか。

「性的な経験の機会があるかないかではなく、欲求自体が下がっていると言える」、「中3生の「性交をしたいと思ったことがある」割合も男子25.7%、女子10.9%と過去最低。男子86%、女子36%だった87年調査と比べると大幅な減少だ。」とあります。現代用語の基礎知識2014(自由国民社)の項目にも、「若者の性離れ」がありましたが、離れていくスピードは相当なものだと思います。週刊実話 7月17日号(日本ジャーナル出版)に、「今の大学生は『スーパーフリー事件』を知らないか忘れています。」という声がありましたが、知っても別世界のお話のような理解しかできないようになっているかもしれず、その点から心配なところもあります。