きょう、マイナビウーマンに、悪いことは絶対にしないようにしようと思う地獄1位「等活地獄」という記事が出ました。
複数回答を認めるアンケートのはずですが、1位でさえ選択率が32.5%という低さに、かなりおどろきました。「鉄棒や刀で身を寸断され骨を砕かれて死ぬが、涼風が吹くと蘇り、再び獄卒に苦しめられる」、それが「約1兆6653億年」という地獄に、絶対に行きたくないというわけではない人が、3分の2を超すのです。ギャップ効果の記事で、またマイナビウーマンかというようなことを書きましたが、そこの読者ですので、いろいろな意味できたえられているのだと考えたくもなります。
選択理由が、地獄の種類によってまちまちかというと、そうでもないようで、ある程度の共通性がうかがえます。まず、熱です。炎や熱い金属で焼かれることへの反応が多く見られます。おそらく、黒縄地獄への「どれもいやだけど、とにかく暑そうでいや」は、誤字だと思います。地獄といえば熱で苦しめられるところという、洋の東西を問わないイメージが、強くあらわれたようです。仏教は、おなじみの八熱地獄のとなりに、八寒地獄という世界もあるとしますが、完全図解 目で見る仏教小百科(村越英裕・藤堂憶斗著、鈴木出版)が「いわば付け足しのようなもの」としたように、あまり知られていません。ちなみに、「北朝鮮のの技術の高さ」で検索すると、寒い地獄のジョークが引っかかります。
字面も効くようです。ですが、黒縄地獄への「漢字が怖いから」という反応は、少々ユニークだと思います。「学校・教育関連」のお仕事だそうですので、黒いあれこれや、お縄になることに、外の人よりも敏感なのかもしれません。「黒縄」の2文字が、そんなイメージをかもし出しているのでしょう。そういえば、かもし出すで思い出しましたが、AOLニュースにきょう出た記事、男尊女卑?それとも勝手なインネン? 「おーいお茶」に対する指摘に批判殺到は、「先頃、ネット媒体に掲載された「おーいお茶」に関する男尊女卑だという指摘が、その後、物議を醸し出している。」と書き出されますが、私ならここは、「出し」は入れずに書きます。
また、絵の影響も見られます。地獄は、宗教画の定番の画題です。今でこそ、地獄絵図ということばは、たとえとして使うのがふつうですが、そういう絵図は昔から実在して、先人が道をはずさないよう役だってきたのです。Google画像検索で「地獄絵図」を検索すると、おそろしい絵があふれて、まさに地獄絵図となります。よく見ると、listenmusicに5年前に出た記事、マキシマム ザ ホルモン流夏FES「地獄絵図」今年も開催!の写真が混ざっていて、ですが裸の人々が、ただならぬ表情で手を上げるようすは、まるで地獄絵図のようです。
番外編には、マニアックな地獄が3種類登場しますが、いずれも無間地獄のそばにある小地獄でしょう。「閻婆度処」は、閻婆叵度処と書きたかったのだと考えれば、意味が通ります。
「5位「焦熱地獄/炎熱地獄」は、人間のバーベキュー状態ということですね。」、たとえとしてわかりやすいとは思いますが、たとえよいたとえでも実在の事件を思い出すと、いやがる人もいるかもしれません。マダム・ヌーの放言からは、もう半世紀が過ぎましたが、わが国では、「元名門高校球児が人間バーベキュー」の事件があり、長野で焼いたのは3年前のことでした。
それにしても、どの地獄もこわいのは当然なのですが、設定がとても古めかしいのが気になります。その古さが現実感をうすれさせて、冒頭で触れた低い選択率につながったのかもしれません。地獄の本 普及版(洋泉社)でみうらじゅんが、現代にフィットした地獄を求めていたのを思い出しました。