生駒 忍

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「アナロジカル」の誤用を考察してみました

同人イベントのチラシが無許可で置かれて困っている書店の話というトゥギャッターまとめ記事を、私は昨年の夏か秋かに読みました。ふと気になることを思いだし、またのぞいてみると、やはりありました。「アナロジカル」ということばの誤用が、です。

この誤用は、analogは名詞だという知識、あるいはイメージしかなかった上に、それを形容詞のように変形すればanalogicalとなるだろう、という考え方をしたために起きたのでしょう。対になるdigitalは、degitalという日本人にありがちなスペルミスまで含めても、形容詞であることがわかりやすい単語です。-alで終わることから、形容詞であるという感じをはっきり受けます。いっぽう、analog、あるいはanalogueは、そうではありません。そのままで形容詞として使えるのに、それをわざわざ形容詞らしくしようとした結果が、この「アナロジカル」だったのでしょう。

ですが、ここで気をつけなければいけないのは、analogの後ろにそのまま-alをつけたのでは、「アナロジカル」にはならないことです。そのままつけた単語がanalogalですが、こんな古くさいことばは使いたくなかったのでしょうか。そうではないでしょう。「アナロガル」では何となく変だと感じて、頭をひねって避けたのでしょうか。これもおそらくですが、違うのではないかと思います。たしかに変だという感じはわかりますが、変なので避けるという以前に、analogalをはっきりと思いつくことはなかったのではないかというのが、私の予想です。

analogousでしたら、ふつうに使われる単語ですが、そこには行きませんでした。また、-icをつけて形容詞にするanalogicという形も、語感の違いは私にはつかめないのですが、見かけることはあります。ですが、ここではanalogyからではなく、analogから「アナロジカル」にいたりました。まずは-icをつけてanalogicになって、それでは納得できなかったのか、さらに-alも足して、これで「アナロジカル」に届きます。このように考えると、つながることにはなります。それでも、-icでもう完成したとは感じない、二つを重ねる不自然さも感じないという想定をおかなければなりませんので、不自然な感じがします。

すると、ありそうなのは、そういった理屈でことばを考えたのではなく、アナログを形容詞のように言うことばを思いつこうとして、ある程度見かけることばであるアナロジカルがふと頭にうかび、ほんとうは意味が違うのですが似ていますし、後ろのところがマジカル、ケミカル、クリティカルといったことばと共通するので、たぶんこれで形容詞のようになっているはずだと早合点してしまったという可能性です。ロジカルとはいいにくいですが、正しい意味でアナロジカルではある発想です。

digitalに引っぱられて、それに近い音のほうが落ちつくということも、あったのかもしれません。そういえば、Analogitalというタイトルの曲があります。とてもデジタルな音でできています。