生駒 忍

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自分からは声をかけない若者と夜の米原駅前

きょう、ブッチNEWSに、この夏、真夜中の米原駅前はナンパ成功率99.9%!?という記事が出ました。

「青春18きっぷの意外な使い方」が副題のようで、だいたい内容の見当がついた人もいるでしょう。在来線で乗れるだけ乗って進んだために立ち往生になりがちな、「本当に「宿がない」街」の話題です。携帯電話から時刻表も宿泊先もあたれる時代になって久しいはずですが、それでも急なダイヤ乱れなどで、立ち往生が後をたたないのかもしれません。

筆者はそこを、「実はこれが絶好のナンパチャンスなのだ。」とします。そして、「断られるのが怖くて女の子に声をかけられない男性も、真夜中の米原駅に集合してみてはいかがだろうか。そこにいる女性は、“声かけられ”待ちの可能性大。」と呼びかけます。これに乗って、草食系男子が集まるようになるでしょうか。女神的リーダーシップ 世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である(J. ガーズマ・M. ダントニオ著、プレジデント社)によれば、林香織は草食化を「主体的な判断が尊重される好ましい傾向」と評価しましたが、主体的に動くことで、どちらもしあわせになるのならば、悪くないことだと思います。

ですが、声をかけられるのではなく、声をかけるほうになるのは、いまの若い人には、とにかくさけたいことなのかもしれません。J-CASTにきのう出た記事、社会人「ぼっち」の涙ぐましい努力 休憩時間が怖い!?に紹介された、「誘われなかったら、誘ったらいいじゃないですか。」というツイートが正論ではあっても、いやなものはいやなのでしょうか。ひと月ほど前、4月23日付の朝日新聞朝刊にあった、水野剛也という大学教員の指摘を思い出しました。大学生が自己紹介をするときに、人見知りを理由に、相手のほうから自分に話しかけるようにと求めるのだそうです。ライトノベル文学論(榎本秋著、NTT出版)が主体性の低い主人公と関連づけた、いわゆる落ちものの世界を、現実社会にも「主人公」にあるべき展開として求めたいのだとは、さすがに考えすぎだと思いますが、自分からさそうよりは、向こうから来るまで「ぼっち」で待つほうが、まだましなのでしょうか。