生駒 忍

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女子校は奥手や内戦を育てるのでしょうか

きょう、マイナビウーマンに、女子校出身者はやっぱり恋に奥手だったりするの?「いいえ 63.0%」という記事が出ました。先月に行われたネット調査の結果を紹介するものです。

「まず、女性読者277人に「女子校出身」か聞いてみたところ、46人が女子校出身とのことでした。」とあり、スクリーニングのところからの紹介のようです。ですが、最後には「有効回答数277件。」とあって、スクリーニングではなかったようなあつかいです。記事本文には、46名の回答で、本題に対して17人が「はい」、29人が「いいえ」だったとあきます。記事タイトルにある「いいえ 63.0%」は、ここでの比率で、277人でのものではないはずです。一方で、紹介されるエピソードは、すべてが「はい」の人のものです。「残念ながら「女子校の女の子たちは奥手!」という幻想は砕かれてしまいました……。」と結論しながら、幻想のかけらをひろい集めるのです。少数派を掘りさげる調査や分析はあってよいのですが、見たいものを見たいだけのようにも見えます。

サンプルが小さいのでしかたがなかったと思いますが、単純に「女子校」でくくることの限界もあります。いわゆるお嬢様学校でしたら、俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件 1(七月隆文作、一迅社)のあとがきにあるように、あらそいのないお花畑なのかもしれませんが、自分のところはそんな裏表のない平和ではなかったという女子校経験者も多いでしょう。むしろ、女子の国はいつも内戦(辛酸なめ子著、河出書房新社)のタイトルそのままだったり、昨今の流行語でいう「マウンティング」が横行する空間だったりしたかもしれません。女子校育ち(辛酸なめ子著、筑摩書房)にあるような分類をとりいれた調査ができると、もっとおもしろくなることでしょう。