きょう、Yahoo!知恵袋に、バンジージャンプやスカイダイビングなど下手をすれば命を落とすような危険な事を...という質問記事が出ました。
特性論、ディメンジョナルな人間のとらえ方のほうが、より科学的ではあっても、人間自身は類型論、カテゴリカルな理解をしがちです。この質問も、そういう危険行為を起こす特性ではなく、そういうことを好む人々をくくって、ほかと切りわけるためのタイプ名を求めるものです。「刺激希求性の高い人」ではおそらく、この質問者の期待からははずれそうです。自傷行為の理解と援助 「故意に自分の健康を害する」若者たち(松本俊彦著、日本評論社)は、Amazon.co.jpでたいへん評価が高い本ですが、あのDSHのお話も近いようでいて、やはりずれるでしょう。
あえて危険に手を出すことをめぐっては、心理学でも古くから説明がこころみられてきました。解釈として便利なのは、後期フロイトの「死の欲動」でしょう。一方で、安易に内生的なものを仮定することを好まない行動主義では、ややややこしい問題となったところです。生体への強い刺激を低減するものが強化力を持つと考える動因低減説は、この分野の重要な理論のひとつですが、この危険行動の問題にはうまく対応しません。心理学検定基本キーワード(日本心理学諸学会連合心理学検定局編、実務教育出版)は、ちょうどこのバンジーを例にして、「しかし、バンジージャンプのような強い刺激も強化力を持つ場合があるので、刺激の低減だけで強化を説明することはできない。」とします。