生駒 忍

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心理学におけるたとえの使用と「若作りうつ」

きょう、LAURIERに、「ご飯のオープンサンド」ってなに? ~たとえ話の心理学~という記事が出ました。筆者は、博報堂で黒リッチってなんですか?(博報堂お金持ち勉強会著、集英社)にかかわり、その後独立したライターです。

この記事は、ことばでわかりやすく伝えるための技術のひとつを紹介します。読めばわかるように、比喩、たとえです。ですが、この人は、たとえによる表現を「たとえ話」と混同します。「「バケツをひっくり返したような大雨」「彼は上司のロボットだ」など、「たとえ話」は普段の会話でもよく耳にする表現です。」、少なくとも私の感覚では、これらはたとえ話ではありません。たとえたとえがきちんとなり立っても、たとえ話とは呼べません。たとえ話は、文字どおり「話」ですので、お話としての展開が必要で、必然的にもっと長くなります。たとえば、シュークリーム・パニック Wクリーム(倉知淳作、講談社)の「限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件」で、十津川が語る砂漠のペットボトルの話のように、長くて中身のうすいものも、立派なたとえ話です。

この記事は、タイトルには心理学とありますが、心理学的なお話とは言いにくい内容です。ですが、心理学の世界でも、たとえはよく使われます。ピグマリオン効果、接種理論、キャリアライフレインボーなど、たとえによる命名はよく見かけますし、クレーン現象はたとえによる語を使っての、マタイ効果はたとえ話にたとえての命名です。モデルも、認知科学パースペクティブ 心理学からの10の視点(都築誉史編、信山社出版)でも論じられたようにいくつかレベルがありますが、わかりやすい「かたち」に仮託するという点では、たとえに近いところがあります。また、深い思想や理念を、講演などで一般の人にもわかりやすくするときにも、たとえは有用です。わかりやすいものとしては、たとえば意味への意志(V.E. フランクル著、春秋社)の、砂時計のたとえがあり、現存在、人生の意味と時間の議論をイメージしやすくしています。なお、フランクルを読みやすくということでは、原典をかみくだいた本もよいと思いますが、最近では『フランクル つらいときに力をくれる100の言葉』回収のお知らせの事件がありました。ドリームニュースにきょう出た記事、心理学の全領域を網羅し、20世紀の心理学の成果を凝縮「有斐閣心理学辞典」(ダウンロード)の販売を再開のように、著作権問題を解消して生還することはあるでしょうか。それでもイエスと言えるでしょうか。

フランクルの時間論、人生論で思い出しましたが、先週出た本に、「若作りうつ」社会(熊代亨著、講談社)があります。帯の「年の取り方がわからない!」が、私には強いインパクトをはなって見えましたが、わかっていないことにまだ気づかない人に手にとってもらって、感想を聞きたい本です。また、凤凰网にきょう出た記事、心理学家表示人生最美好的记忆在25岁之前にあるのが、心理学的には一般的な傾向なのですが、この本に出てくる「年相応」を見うしなった人々がまったく同じになるのかも、私の専門分野がらみとしては興味があります。