生駒 忍

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静岡大学大学院を受験するためのテキスト

きょう、OKWaveに、教育心理学と教育学の大学院入試用の教科書についてという質問記事が立ちました。この手の知識コミュニティではなかなか見かけない、現職の高校教員が教えを請うものです。

ここでは単に、「地方国公立大の院」としか書いていないので、知っていそうな人に気づいてもらえる機会をのがしてしまっているように思います。科目の組みあわせや配点パターンなどからみて、条件のあてはまりが一番よいのは静岡大学大学院です。はずかしくて人前で名前を出せないようなところではないと、私は思うのですが、いかがでしょうか。

そこで、受けたいのは静岡大だと考えて、今年の募集要項を見てみましょう。http://www.ed.shizuoka.ac.jp/wpdata/wp-content/uploads/2011/12/という、私の感覚では今年のファイルをおく発想にはならないようなディレクトリに、PDFファイルで出ています。「教育心理学」を検索しても、そのことばが使われたうちの一部しか引っかからないめんどうなPDFなので、頭から目を通していくと、文書の10ページに、「教育心理学A―心理・教育に関する統計・資料文書等を読み取り、それを元にした思考力を問う問題を出題する。」とあります。すると、「教育心理学B」のほうは、知識重視の客観テストなのではないかという気がします。でしたら、AとBという、登場順序と相互排他性くらいしか示唆できない無味乾燥な記号ではなく、より具体的な命名がほしかったとも思いますが、スペースの都合もありますので、短いこのかたちが便利なのでしょう。敬語の指針の謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱのときもそうでしたが、これもわが国の国立大学なのですから日本語らしい表記をとるべきだと思いながらも、教育心理学イ・教育心理学ロや、教育心理学甲・教育心理学乙では落ちつきがよくないのも、また事実です。最近見たものでは、スープジャーでつくる100円ランチ(松尾みゆき著、青春出版社)の「A部」くらいでしたら、筆者のほうでわかりやすい名前をつけてしまってよかったと思います。名前が思いあたらないことを、ホルモン焼きの丸かじり(東海林さだお著、文藝春秋)の73ページの絵のように、ユーモアで表すのも楽しいでしょう。ですが、日本人の知らない日本語(蛇蔵・海野凪子著、メディアファクトリー)にある、日本人なら誰でも見たことがある小さなお皿の名前のようなこともあります。

AとBとの区別は、この高校教員にとってはついででよいことで、本題は入試対策向きのテキストとのことです。受験先の大学の先生が書いたもので対策するという、安直な戦略をとるならば、何がいいでしょうか。心理学(静岡大学教育学部心理学研究室編、八千代出版)は、そこだけ考えればぴったりに見えますが、あまりに古すぎます。やや角度がずれますが、比較的新しいものとしては、ここだけは押さえたい学校臨床心理学(小林朋子・徳田克己編、文化書房博文社)があります。