大洗町は、太平洋に面した小さな町で、昔からの漁業と、海をいかした観光産業がさかんなところです。町の公式サイトのトップページは、役場らしからぬデザインで、観光への注力ぶりがうかがえます。ですが、2年半前の大震災で、大きな被害を受けました。震度6弱と大津波、そして原子力事故の風評被害が続きます。そこの観光が、ようやく持ちなおしてきたようです。
大きいのはやはり、日本有数の巨大水族館、アクアワールド・大洗です。朝日新聞茨城版の記事、大洗水族館に千客万来 茨城観光の牽引役に期待によると、この夏は過去2番目の来館者数を記録したとのことです。意欲的な展示の数々に、テレビ番組の影響が加わりました。テレビ朝日系「若大将のゆうゆう散歩」内での紹介もありましたが、TBS系「半沢直樹」が、ここにも効いています。きのうのmsn産経ニュースの記事、ドラマ「半沢直樹」 浅野支店長驚愕のメール場面…アクアワールド茨城県大洗水族館にもなりました。映像作品への登場は、まるまる舞台になった大洗にも星はふるなり(福田雄一監督)もありましたが、広く受けいれられる作品ではありませんでしたし、不可思議物語(今関あきよし他監督)では一番最後のあれだけでほぼ無意味でしたが、大ヒットドラマの影響力は相当なのでしょう。
そして、これまで町が経験しなかった方向から、新規に観光資源を成立させたのが、ガールズ&パンツァーです。舞台とされる大洗町に、いわゆる聖地巡礼がやってくるようになったのです。以前の記事で、コンテンツツーリズムの学術団体について取りあげましたが、巡礼は観光形態のひとつとして、評価されるようになりました。大洗町での積極的な取りくみは、観光庁による第一回「今しかできない旅がある」若者旅行を応援する取組表彰の奨励賞にもつながりました。また、観光庁がTokyo Otaku Modeと協力して始めたサイトには、Seichi Junreiのコーナーが置かれ、もちろんガルパンも取りあげられています。これからは、はるか海外からも、まさに巡礼とよぶにふさわしい来訪が伸びそうです。きょうから、毎週日曜日の再放送が始まり、来年には映画公開も予定されていますので、特需はまだまだ続くでしょう。
さらに、終わらないゆるキャラブームに乗りたいのか、つい10日ほど前に、イメージキャラクターも定めました。茨城新聞が、シラスの塊「アライッペ」 大洗町ゆるキャラ決定と報じています。名前だけ聞くとアイヌ語風で、どこのキャラなのか誤解されたのではアピールのさまたげになりそうですが、北海道にフェリーでつながっていることを意識したのかもしれません。外見は、無数のシラスにハマグリの口で、どちらかというときもキャラという気もします。着ぐるみの雰囲気によっては、ふなのみくすのようにはりきると一部で受けそうですが、どうでしょうか。