きょう、msn産経ニュースに、アルバイトの不適切投稿防止へ SNSに特化した教育機関オープンへという記事が出ました。タイトルを見て、SNS上で教育を行うのかと思ってしまいましたが、実際は、主催者のところへ出向かせての講習というかたちのようです。
記事の中ほどに、「法律やITの専門家ら複数の講師が担当し、これまでのSNSへの不適切な投稿例を紹介し、気の緩みなどから非常識な画像を投稿する心理を解説。」とあります。「3時間程度の1回完結型」に、講師を複数用意するのは、力が入っているとも、非効率ともいえそうですが、そこに心理の専門家は挙げられていません。「心理を解説」する内容なのにと、少し引っかかってしまう方もいるでしょう。ですが、少なくともアカデミックな心理学者には、こういう切りとり方は、あまり得意ではないことが多いと思います。こういうというのは、「~する(人の)心理」というものです。どうみても心理のお話なのですが、心理学はこういう切りとり方を、あまりしませんし、一方で、外では相当な需要があります。たとえば、教えて!gooの無理やり酒を飲ませる人の心理を見ると、この問い自体だけではなく、画面右にある「このQ&Aを見た人がよく見るQ&A」にも、このタイプのものがびっしりとならびます。発言小町にも、毎日ランチ画像を送ってくる新人など、いくらでもあるパターンです。
逆に、心理学がきちんと取りあげてきたものが、ほかの学問の人に横どりされているようなことも、よく見かけます。れっきとした認知心理学の知見が、行動経済学や「脳科学」のもののようにされていることは、めずらしくありません。また、ホリデーオート 2013年10月号(モーターマガジン社)には、いわゆる「若者のクルマ離れ」を、認知的不協和で解釈する記事がありましたが、これが社会学の概念ということにされていました。もちろん、心理学ではもう古い考えなのは、前にも取りあげたRessurectionというブログの、To doという記事にもうかがえますし、あなたへの社会構成主義(ナカニシヤ出版)などの著作で知られるK.J. ガーゲンが、40年も前に認知的不協和理論を突き、そして社会心理学全体を突いたことも有名でしょう。