生駒 忍

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筑波大学が公表した「駅前キャンパス」

先週のことですが、筑波大学のウェブサイトに、「駅前キャンパス」という企画の情報が出ました。TGN主催:「駅前キャンパス」の実施についてという文書をお読みください。たしかに「チャレンジングなもの」で、ユニークな企画ですが、いろいろと気になるところもあります。

大学が告知してはいますが、文書のタイトルに「TGN主催」と明示されているように、大学によるイベントではないようです。ですが、文書ファイルの3ページ目が、このイベントのポスターの、おそらく裏面だと思いますが、そこには「第一回 筑波大学 駅前キャンパス」とあります。一方で、2ページ目が、こちらはポスターの表面だと思いますが、その下部には、「主催:つくば院生ネットワーク(TGN)」「協力:筑波大学,つくば市」とありますので、筑波大学は主催ではありません。ところが、1ページ目に「協力機関」として示されているのは、「つくば市国際戦略総合特区推進部 科学技術振興課」と「首都圏新都市鉄道株式会社(つくばエクスプレス)」です。つくば市本体が協力しているのか、それともその中の一つの課だけなのかも不明ですが、筑波大学と首都圏新都市鉄道とはまったく無関係ですので、この両者が入れかわりになっているのは、とても奇妙です。そして、ポスター裏面には、「協力: 筑波大学、つくば市、つくばエクスプレス」とあります。

どうしても引っかかる方は、問いあわせてみるのが早いかもしれません。ですが、どこへというところで、また混乱があります。文書の1ページ目では、そのページでは協力機関になっていない筑波大学の、学生部に属する個人名が、「問合せ先」として電話番号つきで示されています。一方で、ポスターの表面では、「問い合わせ先」はGmailで取得したメールアドレスがあるのみです。裏面には、「連絡先」として、同じGmailのアドレスがあって、後ろのかっこの中に「代表 角田 雄哉」と入っています。なお、1ページ目の個人名は、2文字の漢字の間を空けてあるので、中華風の氏名のようにも見えますが、これはただの名字のはずです。土子昇専門員のことだと思いますが、合っていますでしょうか。

どこで開催されるのかにも、書き方にぶれがあります。1ページ目では、「つくばエクスプレス線つくば駅改札口前」です。「線」がついているのを見て、日本語版ウィキペディアで記事名が激しく争われた苦いできごとを思い出してしまいました。ポスター表面では、「TXつくば駅改札口正面(スターバックスコーヒー隣)」です。裏面では、「TXつくば駅改札前」です。「改札」よりも「改札口」のほうが、1回だけとみるか、倍もとみるかはともかくとしても、多く使われていますが、協力している可能性が高いTXの公式サイトで、つくば駅構内図を確認すると、「改札」という表記になっています。

そういう場所ですが、イベント名は「改札(前)キャンパス」ではなく、「駅前キャンパス」です。いろいろな大学が、こういうイベント名ではなく持続的な施設としての「駅前キャンパス」を持っていますが、私が思いつく限りでは、駅そのものの中に置いたところはありません。高専でもそうですし、下北沢大学駅前キャンパスもそうです。ときめいとは駅ビルの中という印象がありますが、「駅前キャンパス」ではなく「駅南キャンパス」です。このTGNの駅前キャンパスは、そういう意味では特殊ですが、改札までが駅であるという立場をとっているのでしょう。「駅ナカ」の定義のお話もありますし、むずかしい話題です。

ポスター表面では、一番情報量がない「近日公開予定」が、ずいぶんと目だっています。ここは、1ページ目の「テーマ(仮)」のほうから推測すると、「都市と交通の話」が入るはずと考えられますが、どうなのでしょうか。

以上のように、いろいろと気になるところがありますので、協力している可能性が高い筑波大学ではなく、主催のほうで発信している情報でも確認してみようと思いました。主催者のつくば院生ネットワークは、大学院生が網羅的に組織されたものではなく、「意識高い系」という病 ソーシャル時代にはびこるバカヤロー(常見陽平著、ベストセラーズ)を思わせるところもあるイベント団体ですが、学術活動を手弁当で応援してくれる点では、とてもありがたい存在と思います。気づきにくいのですが、サイトの左上から「駅前キャンパス」のページへ入ることができます。YouTube動画を除けば、先の文書とだいたい重なる内容が出ています。会場は、「TXつくば駅改札口を出た正面(スターバックス隣)」と書かれていて、ここも「口」がつけられています。一方で、Twitter公式アカウントには、もう今週の開催なのに、駅前キャンパスの情報は、まだ出されていないようです。ブログにも何も出ていませんが、こちらは昨年秋にぴたりと止まったままです。