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問72 メタ分析と公刊バイアス

メタ分析は、医学領域で早くから用いられてきましたが、近年では心理学においても、エビデンスの意義の理解とともにひろまっている手法です。

1、これは予備調査の一種でしょう。ただし、この予備調査という用語は、あちこちでふつうに使うものではあるのですが、ブリタニカ国際大百科事典〈6〉ホエ-ワン(TBSブリタニカ)は「言葉の意味が曖昧な慣用語」としましたし、気をつけたほうがよいところもあります。

2、これは近年ようやく問題性の認識が共有されるようになってきた、QRPの一種でしょう。こんなことをしてはいけません。

3が正解です。メタ分析は多くの研究を統合して知見をみちびくすぐれた手法ですが、その対象になる研究がかたよっていては、正確な知見は得られなくなります。同じような内容の研究でも、きれいな結果、歓迎される結果、わかりやすい結果が出たものほど、論文等として目だつところに公刊されやすく、そうでない結果はお蔵入りしやすいことによって、公刊バイアスが起こることに注意しないといけません。第21回MR認定試験でも出題されたポイントです。

4、じっくり吟味しつつすすめるのはかまいませんが、長い年月をかけることが必須ではありません。心理学の研究で、立案からそこまでかかるのは、問69解説で取りあげた前向き研究くらいでしょう。