国際障害分類(ICIDH)は、Wood, P.の着想を発展させて、WHOが1980年に打ちだした考え方です。これを拡張し、障害者に限らず人間一般を包括するモデルとしたのが、2001年の国際生活機能分類(ICF)ですので、合わせておさえておきましょう。ICIDHとICFとの関係や発展のポイントの概説を挙げておきます。
国際障害分類初版(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)へ ―改定の経過・趣旨・内容・特徴― - 障害保健福祉研究情報システム
1、これはその国や地域での一般的な経済的水準を基準とした場合の、相対的な低さです。ちなみに、わが国の相対的貧困率は、平成26年版 子ども・若者白書(日経印刷)の第1-3-39図ではっきりわかるように、OECD加盟国の中では相対的に高い位置にあります。
2、これは、不満が生じるほどに自己より他者が、内集団より外集団がより資源をもちめぐまれた関係を指します。Townsend, P.が提唱し、貧困の議論や政策に影響をあたえた考え方です。
3が正解です。なお、しばしば誤解されますが、ICIDHは図の左側の要素が生じたら、矢印どおりに社会的不利へ達することがさけられないという決定論的なモデルではありません。むしろ、途中のどこかで止めれば、より左側のものの改善が不可能であっても、社会的不利は起こらなくできるというように読みます。医学決定論ではなく、むしろ福祉用具やバリアフリー化の意義をみちびきます。
4、これは医学的には必要性が認めにくいのに、病院の外に退院をさまたげる理由があるために長く続いてしまう入院のことです。本来は医療ではなく介護が求められるべき高齢者や、偏見のある社会には居場所を得にくい精神障害者の問題がよく知られています。なお、精神障害者の入院期間については、問90解説も参照してください。