生駒 忍

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小室哲哉への大衆側の反動とクロスロード伝説

きょう、ダ・ヴィンチニュースに、小室哲哉ブームを終わらせたのは宇多田ヒカルだった 1998年、音楽界はどう変わったのか?という記事が出ました。1998年の宇多田ヒカル(宇野維正著、新潮社)を紹介するものです。

「本書によれば、1998年におけるCDの総生産枚数は4億5717万3000枚。」とあります。「本書によれば」といっても、この本が算出公表したものではなく、日本レコード協会が発表した数値に、何の手も加えていません。

「時代の移り変わりを象徴したのが小室哲哉による“TKブーム”の終焉」、「約5年間にわたりヒットチャートを独占してきたことによる大衆の「飽き」と「反動」」、これが1998年の転換点にひびいたようです。この1998年まで、小室プロデュース作品は4年続けて日本レコード大賞を受賞し、そしてこれを境に、一度も取ることはないまま現在にいたります。受賞作のひとつが、1998年の最後、紅白歌合戦で最も視聴率をとったのも、頂点として象徴的であると思います。

「小室の気持ちを「様々なしがらみによって仕事を減らすことは不可能だった。むしろ増えていくばかりだった」と著者は代弁する。」とあります。正確な代弁ともいえますが、本人はすでに、罪と音楽(小室哲哉著、幻冬舎)で、「毎日が締切だった。」「それはもう、「生きながらにして死ぬ」ことを科された毎日だった。」「まさに「クロスロード伝説」さながらだ。」、そしてまさに、「「今ここで自分がくたばったほうが、残された人たちはビジネスになって喜ぶんじゃないか」とさえ、真剣に思っていた」と明かしています。