生駒 忍

記事一覧

『依存症からの脱出』と25歳だった清原へ

先日、知人の研究室に遊びに行った際に、依存症からの脱出(直江文子著、北辰堂出版)をいただきました。ありがとうございます。

まえがきによると、「私なりに「依存症」について一冊を書きあげてみたい」という思いからこの本にいたったようですが、実際には別の人の書いたもの、語ったものがたくさん入っています。それぞれを受けて筆者が論を進めるわけでもなく、ばらばらなものが起承転結を形成しないようにならび、アルコール依存の本のはずが最後にネット依存への脱線があるという、構成を感じさせない構成です。断酒会らしい言いっぱなしを表現したと読むところでしょうか。

それでも、単著あつかいです。「単著もないのに」の流行からもう10年になろうとしていますが、「実は「自分の思いを一冊に書いてみたい」と思い立ってから、六年の歳月が流れてしまいました。」と述べつつ出した、単著です。直江文子というのは、本名かどうかの検証はほかの人にまかせますが、個人名なのです。藤子不二雄やエラリー・クイーンのような、個人名とまぎらわしいユニット名ではないはずです。ふと、探偵ファイルの記事、品川庄司はコンビ名!を思い出しました。

「「飲酒運転」「自殺予防とアルコール」などという言葉とともに「依存症」の問題がクローズアップされるように」とありますが、アルコールに限らず、依存の存在感は、近年強まりつつあるように感じます。最近では、うつくしい子どもが第68回ちばてつや賞入選作品となり、テレビ朝日系列のしくじり先生 俺みたいになるな!!は来週の放送でギャンブル依存にはまった貴闘力を登場させるそうですし、昨日の中央社会保険医療協議会総会は、禁煙外来の保険適用要件から、若年者にかぎりブリンクマン指数をはずしました。議事次第の「個別改定項目(その3)について」362ページから363ページのところです。そして、芋づるが来なければことし最大の依存関連ニュースになりそうなのが、清原和博の逮捕です。週刊文春 3月13日号(文藝春秋)のスクープ以来、いずれ来ると言われつつも、ショッキングな事件となりました。なお、あのスクープはきょう電子書籍化されて、週刊文春が報じた 清原和博「薬物疑惑」直撃取材のすべて(週刊文春編集部編)として、100円で入手可能となりました。

直接の言及はありませんが、おそらくこの逮捕を受けたと思われるのが、TAMESUE.JPにきのう出た記事、25歳の君へです。毎日新聞のウェブサイトにきょう出た記事、清原容疑者逮捕 桑田真澄氏「人生でも逆転満塁アーチを」にある桑田の指摘、「いつまでも4番バッターでいる自分が忘れられなかったというか、変わり切れなかったというか。そこが非常に残念」と同様の思いを、いつものやわらかい筆致で、前向きに、いまの25歳向きに表現しているように思えます。

清原は、その25歳までに1億円プレーヤーになるという夢を、23歳にしてかなえました。ですが、この大スターは、25年後にホシになってしまいました。その9けたの契約更改を報じた1990年12月13日付日刊スポーツには、1億円の使いみちについて「いい車があったら買いたいです」との答えがありましたが、CarMeに1か月前に出た記事、離婚?破産寸前!?清原和博の愛車遍歴が異常すぎる!!にあるような誰もまねできない展開ののち、逮捕のニュースでは、誰も乗せられたくない車に乗った姿が新聞各紙に載りました。ただし、球界の先輩では、同じく覚醒剤で乗せられた、江夏豊の例があります。清原、25歳のときでした。