生駒 忍

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合成着色料の発がん性評価と高速製氷機II

きょう、It Mamaに、賢いママは選ばない「実は子どもに危険」なアイス・ゼリー・カキ氷とはという記事が出ました。「子どもをもつママとして知っておきたい合成着色料の人体への影響と家庭でできる手作り“ひんやり”スイーツついて」としますが、影響のお話はおかしなものですし、「“ひんやり”スイーツ」といってもかき氷のみです。

「日本人が1年間で摂取する食品添加物の量は、平均4キロとも言われていますが、できれば子どもには、自然のものを与えたいですよね。」とあります。人工か、自然、天然かを問わず、添加物をさけたい、減らしたいという考えは、とてもよく見かけるものですし、「買ってはいけない」は嘘である(日垣隆著、文藝春秋)の終章に紹介される、人工着色料は「体にはいいわけはない」と断言し、当面の排撃対象にした花森安治のような思想もありますが、自然の添加物を与えていきたいという積極的な立場だと見ると、めずらしいと思います。

「着色料を含む食品添加物、農薬、排気ガスといった1つ1つの化学物質の研究」という表現があります。特徴的な語法の「化学物質」ですし、化学物質はなぜ嫌われるのか(佐藤健太郎著、技術評論社)が問題視する「化学物質アレルギー」とも、強く関連しそうな印象を受けます。

「外国では禁止されている合成着色料」として、3種が示されます。ですが、ひと目見てわかる人もいると思いますが、各国の規制状況はちぐはぐで、誤っています。発がん性の断定は、もしかすると世界の集合知を超える知見や自信を持っているのではとも思いますが、少なくとも国際がん研究機関による発がん性評価は、IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humansにあるように、3種ともグループ3です。ちなみに、アロエ抽出物、ココナッツオイルから作られるヤシ油脂肪酸DEA、そしてコーヒーといったものは、健康そうなところから来ていて、グループ2Bです。もちろん、IARCはこの着色料3種を、グループ4にはしていないので、発がん性がないとはいえないと言いたい人もいるかもしれませんが、ではグループ4にはどうすれば入れるのか、現在何が入っているのか、調べてみてください。

後半はかき氷の話題となり、「ぜひ家庭で体に優しいかき氷を」と呼びかけて3種の提案があります。「アイディア1」は、「製氷器(100円均一で購入可)にジュースを注ぎ、凍らせてかき氷にしてみましょう。」とします。製氷機が108円で、と誤解しないでください。製氷皿のことです。手ごろで人気のある高速製氷機II(ベルソス)でも、2けた上です。

「アイディア2」は、「牛乳100mlに、きび砂糖もしくは甜菜糖大さじ3を入れて、半量くらいになるまで煮詰めたら、冷蔵庫で冷やして出来上がり!」というもので、凍らせないかき氷とはおどろくべきアイデアだと思った人もいるかもしれませんが、こちらはシロップのみの提案として読んでください。また、「いくつかの化学物質を同時に体内に取り込んだ場合の“相互作用”」を心配する人が、ふつうの砂糖ではなく「きび砂糖もしくは甜菜糖」、さまざまな化学物質が混ざったものを指定するのは、ふしぎに思えます。