生駒 忍

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月刊ダンスビュウ4月号

月刊ダンスビュウ2013年4月号の、まずは表紙に注意をひかれました。タイトルの文字が、大写しの人物写真で一部かくれることは、どこの雑誌でもあることで、ダンスビュウでも毎号恒例となっています。かくれているところも、正しく推測することができて、それはたいてい、わざわざ考えなくても見た瞬間にわかってしまう、心理学で知覚的補完とよばれるはたらきによっています。ですが、この最新号がとてもおもしろいと思ったのは、1文字がすっぽりとかくれていて、もちろんそれを補完して読むこともできるのですが、たとえ補完しなくても、そのまま読むと同じ読みになってくれるからです。「ュ」が抜けると、今度は歴史的かなづかいとして読むことができるのです。さすがに、若い人にはできなかったかもしれませんが、この雑誌の読者層でしたら、そうむずかしいことではなかったのではないかと思います。

それにあわせたわけではなく、たまたまだと思いますが、この号の読者プラザに、「ダンス人口の高齢化」という投書が載っています。若いころにはジルバがはやっていたが、いまは若者がダンスといったらヒップホップのことで、Shall We ダンス?の影響も限りがあり、40代くらいまでの人が入ってこないことをなげくという、この世界ならどこでも言われていて、ひろく共感をよぶ内容です。

なぜ若い人にそっぽを向かれてしまうのでしょうか。10年ほど前には、当時若い人にもある程度人気のあったタレントを集めての、芸能人社交ダンス部という企画が、バラエティ番組の中にありました。その後何回か、単発のスペシャル番組にもなったのですが、もう見かけなくなりました。ヒップホップ系ではないダンスのサークルは、伝統校を中心に、各地の大学に続いています。そこも、学生のだれもがあこがれる人気サークルになってはいないように思います。関心の対象が悪いのでしょうか、それとも、敬遠したくなるような空気があるのでしょうか。ふと、ちょうどこの号の、ある審判員がペンネームで書いたコラム記事を連想しました。その方が前に、その場に居あわせたこととして、大学名は出していませんでしたが、「大学対抗の団体戦で負ければOBが来て、先輩キャプテンは丸坊主!(何んだこのクラブは? その後の展開は省略)。」とありました。桜宮高バスケ部体罰事件のニュースで思いだして書いたのか、現在の各大学のダンスサークルではふつう起こらないことなのか、省略されたところにはもっとむごい事象があったのか、いろいろと気になるところはありましたが、外の世界にしかいない私は、明治大学応援団員自殺事件を思いだして、ついていけない気持ちになりました。

さて、「ダンス人口の高齢化」を書いた梶原浩明という方は、この雑誌を中心に、いつもダンス関係の投稿をされてきています。私の妻は(山本亜矢子作、文芸社)に出てくる梶原浩明のモデルではないと思いますが、まじめできちんとした方であることが、文章からうかがえます。ですが、批判されることもあります。桐生忠太やJutelineと名のっている方が、5年前に掲載されたものについて、「もっともらしげに書かれていますが 実際には役立たない内容ですので」と、きびしい批判をしています。どちらの主張が正しいのかは、門外漢の私には判断がつきません。なお、この批判者の方は、茅原伸幸のシルエット錯視に対して、私の正解として「乱数を用いている」「いわゆる錯視ではありません」「この制作者さんは ボールルーム・ダンスを為さる人」といった、ほかで見かけないユニークな主張をしています。これが正解かどうか、正解でないとしたらどこがどうおかしいのか、興味のある方は考えてみてください。