生駒 忍

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産地のラベルにこだわるB層と植木等の明るさ

きょう、産経ニュースに、「ミシュラン」外され…「虚偽表示1年」で“バカ正直”目指した業界は信頼取り戻せたかという記事が出ました。

「「消費者が『ブランド名』や『高級だけど安いもの』に食いつく限り、いたちごっこ」と指摘する専門家もいる。」、同感です。さらに言えば、食いついた上に、だまされたことに気づけないレベルの人がたくさんいることが、本質的な問題です。偽装表示で一度はお店に誘導できても、二度と来ない、ほかの人にもすすめないのであれば、続けにくいでしょう。週刊新潮 11月6日号(新潮社)で適菜収が、「自分の舌に自信がないB層は、「産地」に異常にこだわります。」と書いたように、産地によるおいしさのちがいがわかる舌を持っていない人は、産地を気にする意味がないのに、自分はおいしいものを食べたのだということにしたいために、産地のラベルをほしがるのであれば、お店はお客のほしいもの、ラベルそのものを提供したくなるのもわかります。もちろん、ラベルの影響は、食に限らず、さまざまな感性評価に起こることですし、ばれない限りはおいしいと感じていられるのだから、本人もお店もしあわせでいられるように、ばらさないでおこうという考え方もあるでしょう。サンタクロースはいると子どもが信じていることで親子とも手にできるしあわせが、不用意に触れたメディアにこわされてしまったという、よくあるお話に近いでしょうか。ですが、サンタクロースの存在とは異なり、食の偽装表示は、本質的に不正なのです。

業界関係者が、「「消費者も安易に『安くて高級なもの』や、不必要なほどの華美なメニューに惑わされないように気をつけてほしい」と呼びかけている。」ともあります。偽装はいけないと言うのは簡単ですが、消費者がかしこくなることが、偽装をなくす力になるのです。安さには、本来は相当な犠牲をともなうことを知るべきでしょう。同じく産経ニュースにきょう出た記事、ネットで牛丼の作り方を聞く!? 「ワンオペ」の本当の恐ろしさの、クレイジーな世界を見てください。それにくらべれば、「コストを抑えるために表記と違う安い食材を使用しているのを調理場のほぼ全員が知っていたにもかかわらず、「問題だとは思わなかった」という認識不足もはびこっていた。」と、だましとして良心をいためることさえなく、労働者の犠牲なしに安く見せるやり方で、お客が満足してしまうのであれば、やはり誰も損せず、おたがいにしあわせで問題なしでしょうか。そういえば、結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HARAHORO盤では2枚目の18曲目、「笑って笑って幸せに」で、谷啓は「あなたがいるから僕がある」と、1枚目の17曲目では、79年版ですが、植木等が「分かっちゃいるけどやめらえねぇ」と歌うのでした。

その植木を尊敬している人物が、植木に続きました。きょう発令された平成26年秋の褒章で、歌手の桑田佳祐が、紫綬褒章を受章しました。受章にあたってのコメントには、「大衆芸能を導いて来られた数多の偉大なる先達たち」への感謝があり、21年前に受章した植木も、そこに含めたことは明らかです。植木は、いわゆるクレイジー映画での役柄から、根っこから明るく調子のよいイメージで見られがちですが、ただの歌詩じゃねえかこんなもん(桑田佳祐著、新潮社)は、「あの笑顔には深みがある。」としました。東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン 創刊号(講談社)には、加藤茶が「加藤、ぼくの明るさはつくっているんだよ」と明かされたお話がありましたが、皆さんには、あの笑顔はどう見えていますでしょうか。