生駒 忍

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小さいおじさんとなりきり厨被害の臨床心理学

きょう、シネマトゥデイに、釈由美子「小さいおじさん」話で脳のMRI検査の予約を取られた過去を明かす!という記事が出ました。記事の最後でだけは「妖精おじさ」と書かれましたが、妖精おじさん ディレクターズカット版(下山天監督)のDVD発売記念イベントを報じたものです。

「小さいおじさん」のお話は、私の印象では、もう話題としては古くなってしまったように感じますが、あのようなDVDですので、ずいぶん語ったようです。それでも、興味深いのは、「みなさんが見たおじさんと、わたしが見ているのは同じ感じ」だというところです。一見すると荒唐無稽な夢の世界を読みとき、人々に共通するモチーフを見いだすユングの思想ではありませんが、国内で同時多発的に報告されたこのおじさんも、人々を共時的にむすぶ何かを示唆するあらわれなのでしょうか。ですが、これと、いわゆるなりきり厨のロックオン被害については、都市伝説的で社会心理学よりの言説ではあっても、臨床心理学や精神医学の手のとどくところには、なかなか報告がありません。それでも、おじさんのほうは、たとえば臨床心理学 13巻4号(金剛出版)に、おやじギャグのようなことを言う小ぎたないおじさんに、お風呂で会う人の例があります。

「「わたしのこういう発言を怒ったり、馬鹿にしたり、白い目でみない人がいいですね」と交際相手となる男性の条件を上げた釈。」とあります。発言そのものは、条件を挙げたかたちですが、MRI検査をすすめるかどうかは別としても、そういう男性が世の中にどのくらいいるかを考えると、求める条件、ハードルを上げたと、これを書いた記者は理解したのだと思います。皆さんは、あるいは皆さんのまわりの男性では、この条件をみたせますでしょうか。