生駒 忍

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スタバがない鳥取県、スタバがある筑波大

きょう、msn産経ニュースに、スタバ「ゼロ」鳥取の屈辱、山陰2号店は再び「島根」で鳥取〝コケ〟…2号店は動員力ある出雲大社に、鳥取怨念「スタバよ、来るときは覚悟せえ」という記事が出ました。

出雲大社門前町のにぎわいのお話も、石畳も駅も工事中だった「平成の大遷宮」の最中に行った私には感慨がありますが、スターバックスへの山陰の屈折した思いも、共感的に理解しながら読みました。コメダ珈琲店なら、鳥取にはすでに2店舗があり、島根はまだで、来週オープン予定の松江学園店が史上初となるはずですが、鳥取県民にはあくまでスタバが、よくも悪くも関心の対象なのでしょう。

スターバックスの、そこまでにさせるブランド力はすごいと思います。ほかのコーヒーチェーンとは別格の価値があるのです。2ちゃんねるでは吉野家が、ほかの牛丼チェーンとは別格であるように、「リア充」でありたい人にはスタバが、なぜか別格なのです。この季節でもテラス席に出たり、いわゆる「ドヤブック」にはげんだりしたくなるのです。そして、リアルだけでなく、ネット上にもしみ出してきます。日経BizGateに半年前に出た、なぜ人は「スタバなう」とつぶやくのかを、インパクトがあったので私は出てすぐに授業で触れたのですが、店舗数では上を行くドトールとの価値のちがいがひと目でわかる、あのグラフを思い出しました。

そのドトールが、茨城大学にできるというお話が、きのうのトゥギャッチの記事、「茨城大学にドトールが誕生」というウワサは本当か?にまとめられていました。実は、できたのは工学部のほうで、しかも自動販売機だったのでした。それでも、ただいま改装中の水戸キャンパス図書館には来年、サザコーヒーが入るようですので、わかる人にはいいお店だとわかるのですが、筑波大のスタバがうらやましく見えるのでしょうか。筑波大でも、あのスタバの導入をめぐっては議論があり、ドトールを、もちろん自販機ではなく店舗で入れる案もあったのですが、スタバに負けました。私は、卒業生の成功をたたえて、タリーズを入れるべきだと思っていましたが、タリーズはやや遅れて、附属病院のほうに入りました。すべては一杯のコーヒーから(松田公太著、新潮社)で書かれた、病院出店への創業者の特別な思いが、母校でも実ったのでした。また、開店直前には、筑波大学新聞の紙上で、津田幸男教授が「有名店の威光で大学を魅力的にしようとする小手先の改革」「むやみに「俗」を入れることはない」、大学は「変わってはいけない」「「精神的権威」であることを貫徹すべき」と主張し、大学上層部に翻意をうったえました。そして、「スターバックスを導入したら、大学はアメリカの文化支配を正当化してしまい、アメリカ文化への追従を促してしまいます。」「このままスターバックスが開店したら、それは大学が市場原理に飲み込まれたことを示す「悲しい墓標」になるでしょう。」と予測しましたが、あれからそろそろ6年、どうなりましたでしょうか。そういえば、筑波大学 by AERA(朝日新聞出版)では、その筑波大学新聞の編集長をつとめた松本果奈が、スタバを「ちょっとした自慢(笑)」と評していました。