生駒 忍

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秦野「オンラインゲーム」殺人事件と男女の仲

きょう、FNNのウェブサイトに、神奈川・秦野市男性死亡事件 逮捕の男、男性と面識なしかという記事が出ました。阪田健一容疑者の供述による続報です。

気になったのは、報道内容のほうでは、被害者の元妻は「オンラインゲームを通じて知り合った友人」で、阪田も「わたしの友人」と表現しているのに、映像の右上には「男女の仲」と書かれているところです。「強い感情」や「強い絆」は、必ずしも男女のものとは限らないはずです。真偽はわかりませんが、視聴者が納得しやすいストーリーへ落としこもうという意図を感じます。Yahoo!ニュースの宇多田ヒカルさんの発言でメディアが考えるべき「精神の病」の問題という個人記事も指摘していた、藤圭子自殺が骨肉の愛憎劇に見たてようとされたのと似ています。あるいは、秋葉原無差別殺傷事件について、格差社会への異議申立てのように報じたいのに、犯人の声が出れば出るほどその解釈では的はずれだと見えてきたときの困惑も、思い出されるところです。

映像に出てくる人物からも、「男女の仲」と判断させるほどの手がかりは出てきません。2名の一般人も、臨床心理士も、そこにつながる情報を出していません。女性のほうの一般人の、「この人イケメン」発言が異性関係をイメージさせる程度です。なお、私はその前に、字幕では修正されていますが、「ゲームうまいかったら」と言っているのが気になりました。

臨床心理士のほうは、肩書きを「代表」にはせずに、2回とも「オンラインゲーム調査研究所代表・平井大祐臨床心理士」として登場しています。あやしげな自称研究所だと思う方もいるかもしれませんが、ここは研究活動の実体があります。研究所のウェブサイトから、研究論文になっているものを読むことができて、疑問を感じる部分はありますが、きちんと心理学的な実証研究のかたちをとっています。どちらかというと、マスコミ対応のほうが、まだ慣れていないのかもしれません。映るときの背景を考えられていないようです。